人気ブログランキング | 話題のタグを見る
11月7日 ルネサンスの音楽史を学ぶ(東京)
CHAPTER 29
《印刷の話》

ジャヌカン、クレメンス、モラーレスなどの時代の音楽が、聴衆というものへの拡がりを見せ始めるのは、印刷技術の発達によるものである。楽譜の印刷技術は成熟した状態を見せ、新しい市場を開拓していく。このことは、音楽のあり方、作曲家とパトロンの関係を変え、芸術的、社会的に音楽生活を一変させていく。

1528年、パリの印刷業者(ピエール・アテニャン)が新しい印刷技術でシャンソン曲集を出版。1543年、オランダ、ベルギー地方でネーデルランド楽派の音楽を出版。イタリアではヴェネツィアが中心となり、マドリガーレを出版。ドイツはニュールンベルグで楽譜印刷が行われる。また、リヨンとフランクフルトで本の見本市が行われるなど、国際的な交流が見られるようになる。

楽譜印刷技術は文化に飢えている人たちの要求に応え、出版業は栄えていく。20世紀に至るまで、出版社、作曲家、文化を消費する人の三者の関係はずっと続いていくことになる。

参考文献:
山本義隆著『十六世紀文化革命』全2巻(みすず書房)各巻3200円+税
(以前にも紹介された本です。特に印刷に関して、音楽以外のことになりますが、詳細な記述があり大変興味深く、16世紀の文化全般を知る上で是非お読みください)

*次回は11月28日(補講)
第31章「16世紀の器楽曲について」を読みます。
by fonsfloris-k | 2009-11-07 10:30 | 講座レポート
<< 11月14日 グレゴリオ聖歌入... 発見! カペラ・コーナー >>