出席者:17名
配布プリント:名簿改訂版1枚(A4版) 内容 〔1〕『Graduale Triplex』の内容区分の説明(以下頁数はGraduale Triplexより) ・PROPRIUM DE TEMPORE (教会暦の季節に固有)(p.13~) 待降節のミサ (p.15~) 教会暦は待降節から始まる。クリスマスの前の日曜日が第四主日になるので、それから逆算して第一主日から待降節となる。しかし、現代のカトリックの暦によって作られているので、歴史的にはルネッサンスの時代の暦とは違う。過去の典礼とGraduale Triplexのものとは違うことを念頭におくことが重要である。 降誕節のミサ(p.38~) クリスマスのミサは、真夜中のミサ(p.41)、明け方のミサ(p.44)日中のミサ(p.47)と三つある。 ・COMMUNIA(共通)(p.393~) 共通の聖人のミサ(p.395~) 何月何日はどの聖人と決まっているが、聖人を「使徒」「殉教者」「教皇」「殉教者の教皇」等にグループ分けをしている。なお聖人の分類、祝日の日付等は数百年の歴史の中で変わることがある。 ・聖人固有のミサ(p.531~) 重要な聖人の特定の日に固有のもの。例えば「パウロの回心」(p.535) ・種々の機会のミサ 「日」に限定せず、「教皇」のため、「平和」のため等テーマごとにミサをあげる。 「御聖体の神秘」の祝日以外、任意の時にミサをあげる随意ミサ(信心ミサ)等がある。 ・死者ミサ(p.669~) ・お通夜のミサ(p.678~) ・CANTUS IN ORDINE MISSE OCCURRENTES(通常唱)(p.705~) ・KYRIALE(p.709~) 通常唱はキリエに始まる5つの部分で構成されるが、クレドを除いた4つの部分がセットとして組まれ、これにクレドが組み合わされる。したがってGraduale Triplexには、クレドだけが別にまとめて掲載されている。歴史的、慣習的に特定の日だけ、例えば復活祭の時にだけに歌われるような曲もある。 〔2〕In Festis Apostolorum(使徒の祝日)(p.725)の復習 (1)Kyrie (先唱は先生、男女2組に分かれ交互に歌う) ・第1旋法(フィナーリスはレ、ドミナントはラ)であるが、この曲はドミナントのラで終わる。古い旋律の可能性がある。 ・Kyrie eleisonの後のbisは、2回繰り返す印(第二バチカン公会議後)であるが、本来は3回であるので、3回交互に歌う。 ・基本的には、音が繋がっていくことが重要である。符点とかテヌートは一つの提案であり、特に長くのばすというような固定的なものではない。 ・小区分線は「フレーズとして切ると良い」というソレム修道院のアドバイスのようなものであり、Kyrie eleisonの言葉としての響きを続ける。 ・ブレスマークでは敢えて、特に意識してブレスをしない。 ・旋法的に大事な音(ドミナント、フィナーリス)とそれ以外の音との違いを意識する。 ・言葉のアクセントの位置を考え、表現しているイメージをとらえる。 ・Christeは最初の2音で一回終わり、その後装飾的に動く。 グレゴリオ聖歌の旋律を整理して、8つの旋法に分類した。フィナーリスとドミナントの関係を理論どおりに説明できない曲、旋法に合わせるために最後を急に変化させた曲もある。古い旋律にはフィナーリスの概念のないものもある。 (2)Gloria (先唱は先生、男女2組に分かれ交互に歌う) ・第4旋法であり、フィナーリスはミ、フレーズすべてがミで終わる。 ・各旋法のフィナーリスとドミナントを復習する。 ・同じ旋律パターンに注意する。 ・p.725の7段目、Gratias で終わらずにagimus tibiまで続けて歌う。 ・p.726 2段目、Domine は4音をほぼ同じ長さでゆっくり(クリヴィスにエピゼマが付記)。次のFiliのFiの最初の音は速く歌う(ぺス)。Unigeniteのniはテヌートで。Iesu Christe のriにあるギザギザはクィリスマで前後の音を長めにとる。 ・Iesu Christeの間は空けずに歌う。なお、これは、1段目のDeus Paterと下から2段目のIesu Christeと Sancto Spirituと三つのペルソナが同旋律で、三位一体の表現となる。 ・4段目初めのQui tollisの下に付いた短い縦棒は、イクトゥスといい20世紀に考案された 唱法の一表記である(音をグループ分けし、最初の音に付記)が、考慮する必要はない。 ・5段目、deprecationemのmのように小さく書かれた音は子音のみ歌う。 ・4段目、6段目のmiserere nobisの後、止まらずに次のフレーズに続きやすいように歌う。 ザンクトガレンの表記を守って歌われるPROPRIUMと違いORDINARIUMの方は大勢の人が歌うので厳密ではないが、書かれているアドバイスをきちんと把握することが大切である。 (3)Sanctus (最初のsanctusを先唱、後は全員で歌う) ・第8旋法で、フィナーリスはソ、ドミナントはドである。第8旋法は変格であり、旋律がフィナーリスより下に行く、またドミナントより上に行かない(下に向かう)傾向がある。 ・反復する文字が多く、メロディーのバリエーションは少なくフレーズの繰り返しが多い。 ・旋律のモチーフを変化させて単調な繰り返しに感じさせない工夫がある。 ・旋律が使い分けられている例 ①段目Dominus Deus Sabaoth=② (glori)a tua Hosanna=④ (no)mine Domini ① Sanctus=② Pleni sunt caeli=③ Benedictus qui venit ② Gloria= ③ (qui)venit in nominee ・Hosannaの装飾的な動きを大切にする。 ・excelsisのlはリクェッシェンスで小さく歌う。 ・構成として、2段目Sabaothまで、3段目in excelsisまでの三つに分けられる。 〔3〕バチカンの15世紀頃の四角符の楽譜とネウマ譜の説明 15世紀頃に書かれた記号を手がかりに10世紀のネウマと対照すると一致するものが多い。500年を経ても耳に馴染んだものとして残り、旋律が歌い継がれてきたことが分かる。これがグレゴリオ聖歌の真髄ともいえる。 〔4〕ネウマについて学習 (今月はporrectusポレクトゥスを学ぶ、配布資料6頁) ・先回までの復習 ヴィルガ(高い)、トラクトゥルス(低い)、プンクトゥム(短い)、クリヴィス(高い低い)、ぺス(低い高い)。指示文字エピゼマ(流れない)。ぺスの変形ぺスクワドラートゥス(全体をゆっくり)、ぺスが小さくなったもの(2つ目を短く子音を歌う)。 ・ポレクトゥスはクリビィスとヴィルガがくっついたような形で意味も(高い低い高い)となる。以下具体的な譜例。(p.499 6段目を499-6と表記) <2種類の高さ> 499-6 odistiのdiは高低高でstiは高低低。音の高さとして2種類ある。 42-6 exuteroのroは3つ目が同じ。 43-3 tuosのtuはクリヴィスとストロファ。 39-1 videbitisのtis。6のappareのreはエピゼマが付き3つ目が高くない。 <チェレリテによる軽い表現> 632-1 sederuntのseとdeにチェレリテル(celeriter)が付き軽やかに。上の指示文字は旋律の高さを示す。同様に101-5 Iacobのco。126-5 et。軽やかに続けていく。 <第3音強調> 134-2 assumpsistiのsti 3つ目の音を強調したい時エピゼマを付ける。 <3音とも流れない場合> 314-3 anturのanは輪の付いたポレクトゥスの変形。nをしっかり歌う。 turは全体を流れないように1つ目にエピゼマをつけた変形。horreaの前でのばし、次の音を準備する。 〔5〕「日中のミサ」(p.47)の復習 (全員で歌う) (1)Antiphona ad introitum ・p.47の7段目のimperiumのpeは流れるように軽やかに歌う。 ・p.48の1段目のe iusのeの最後は音を言うだけでiusに入る。 ・p.48の2段目の[i]は歌わない。前音のiをのばすだけ。 ・最後はp.824の第7旋法のGloria Patriに続き、また最初に戻る。 (2)Communio ・p.50の最初のVideruntのネウマに注意。最初のs文字は指示文字スルスム(sursum)で高いということを表す。deに付いたe文字はエクアリテ(equaliter)で、前と同じ高さで始まるという意味である。またi文字はインフェリウス(inferius)で低いという意味である。 (このテキストはザンクトガレンと違う写本からとられたものでありザンクトガレンでは一音低いミの音で歌われた。) ・runtと次のomnesは2つ目の音を軽やかに歌う。 ・fines terraeのfiから高い音のteを目指す。terraeでクリヴィスにエピゼマがついていることに注意する。salutareの高くなる音に向かい、Deiまで流れに注意して歌う。 上に行くときは勢い良く上り、下にいくときはゆったりと。動きの中で、高いところ、最後の音を目指して歌うことが大切である。 ※前回学んだ曲は必ず復習して歌えるようにしておくこと。 (Y.H.)
by fonsfloris-k
| 2011-07-16 13:00
| 講座レポート
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