聖務日課では聖週間に闇を象徴するテネブレという朝課があり、昨年の古楽院で行った。
今年はクリスマスの朝課。 ◆朝課の構成(p14) 導入 夜課 アンティフォナ(短い聖歌)に導かれて詩編が唱えられる 詩編 八つの教会旋法に基づいて8つの詩編唱が存在する どの旋法で歌うのか、また何の典礼なのかその意味内容を決めるのがアンティフォナ アンティフォナと詩編はセット 詩編を唱え終わった後にもアンティフォナを繰り返して歌う ①(アンティフォナ→詩編→アンティフォナ)3セット ②小さなお祈り ③朗読(ある一定の節のついた)これに対す応唱 Responsorium3セット このように朝課ができている ◆テキストについて Liber Usualis ミサ、聖務日課、祈祷などもはいっている。 Graduale Triplex(今回使うテキスト)はミサのための聖歌集 今回使うのはネウマがでているのでこちらを使う。 ◆グレゴリオ聖歌とは宗教的なお祈りの歌で教会の典礼で歌われる。 以下の特徴がある ○教会で行われる典礼 一人で唱えるのではなく共同体としてで行われる典礼で歌われる 1ミサ…聖職者と一般の人 2聖務日課…聖職者が行う ○音楽的特徴 和音や和声の概念がなかったため無伴奏(場合によっては近代になって 対旋律がつけられたり、2声以上で歌ったり、オルガンで伴奏したりする) リズムは一定の拍子にはとらわれず、自然な言葉の、旋法に基づいたリズム感 ○社会的な意味…共同体の中で機能している、実用音楽といえる 修道院、共住聖職者教会(訳語:ハーパーの中世キリスト教の典礼と音楽参照) この講座は勉強することと、演奏することを目的としている。 演奏の大事な要素は3つ 言葉、旋律、リズムで近代の音楽より大事に扱う ○教会旋法 8つ(基本形)ある。 ギリシャのドリア調、旋法などの呼び方があるが、ラテン世界では主に数で表現する。 聖歌の本ではそれぞれの最初に旋法がローマ数字で書いてある(便宜上) 旋法の分類 MODUS(4種類)があり それぞれfinalis(終音、基準になっている下の音)とdominant(支配的な音) につながっている。その関係は奇数の旋法では5度の関係にある。 第3旋法はドミナントにシとドがあるが、近代に近いとドになってきた。 また、中世ではシという階名はなくヘキサコードというのがあるが、ここでは普通に行う。 偶数の旋法は音程関係が3度4度3度4度となっているので「24683434」と覚える。 ○リズム 拍子ということではなく、それぞれの音符をどれだけの長さで歌うのかを相対関係で歌うので、2分音符などで表現するのではない。流れを示しているのを、ネウマという。 資料の4線譜に書かれている四角い譜もネウマと呼ぶが、現代ではこれを四角譜とよびネウマというと、p2の上にでている手書きの記号のことを言う。古ネウマということもある。 Graduale Triplex では古ネウマが2種類書かれている。上に書かれているのがランというフランスの町に伝わるもので、赤いほうがザンクトガレンというスイスの修道院が中心になって作られたものでこの講座ではこちらを中心に使用する。 p3の表に基本的なネウマがでている。1番から12番まで昨年学習したが、p6にその使用箇所の例が示されているので参照すること。 p282の2段目clamaviのviの最後の音に対して、高いことを示すvirgaが書かれていて次のetは低いを表している。相対的な音の高さを表すのが、この記号の使い方。 4線譜では、音の高さがハ音記号やヘ音記号がついているのでわかるが、古ネウマではわからない。 記譜法ができたのが10世紀で、それ以前は覚えて歌われてきたので、音の高さを記す必要なかった。 ◆資料の見方 p2にはミサの流れが書かれている。 固有唱はそれぞれの暦に固有ということで言葉が時期によってかわっていくもの。 通常唱は常に同じ歌詞を歌っていくもの。 p3の下には参考文献がでているので、参照すること。 「グレゴリオ聖歌選集」はこのtriplexからの抜粋版で有名なものだけでているもの。 日本語の訳がでているので、手軽に意味を理解しながら歌える。 「教会暦」はキリスト教の暦について記されているもの。 「グレゴリオ聖歌セミオロジー」のセミオロジーはネウマを読み解く学問のこと。 p5にTriplexの中の目次になるものを記してある。 ◆昇天のミサ 去年はクリスマスのミサをやったが、今年は昇天のミサをやることにする。 p10に固有唱の部分の対訳がある。 昇天はascensioというが、Graduale Triplex ではp235にある。 固有唱の部分が最初にでてくる。 p2の表でいうと一番最初の入祭唱にあたるのがp235のViri Galilaei。 この季節は復活祭の季節で復活節の中にあたり(復活祭の日から50日間)。 p236の最初の曲は6の昇階唱だが、この間は代わりにアレルヤ唱を歌うので歌詞はalleluiaになっている。本来のアレルヤ唱は7番にある。 表の7番のあるいは詠唱となっているのは、季節によってアレルヤがふくまれないときに詠唱というジャンルのものを歌う。 8番の続唱は近代では年間5回しか歌われない。今回は歌わない。 11番の奉納唱はp237の上にあり、ofがoffertoriumの略、旋法が第1旋法。 次のAd libitum OFは、こちらを歌ってもよいという意味。 p238のCOというのは、表の18番の拝領唱(Communio)のことでAnno A,B,Cというのは、第2バチカン公会議以降ミサの中で聖書朗読をするが、1年のどの箇所を読むかというのを3年サイクルで毎年違う朗読をするようになった。 Annoは年の意。朗読が変わるのに合わせて、communioもかえようということになった。 p238のcommunioから練習。 シはミ、ミは高いと意識する。 4線譜には行の最後に次の行の最初の音がでている。これをクストスという。 また4種類の区分線が20世紀に導入された。大区分線、中区分線、小区分線、複重線があり、歌う補助なる。ただ、必ずしも厳密に守ることはない。 (TK)
by fonsfloris-k
| 2012-05-19 13:00
| 講座レポート
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