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11月26日 ラウダを歌う(東京)
出席者:6名 配布物:以下の2曲

36)Laudar vollio
*損傷もなく音符も角型で見やすく、F-clefで見やすい楽譜

リプレーザ(R)
A)Laudar vollio per amore,
lo primer frate minore

Laudar 5度跳躍でラウダすることを強調
vollio 音符がひとつ、1拍の中で短くヴォイオ、という
per amore perに音がひとつ、amoreで下降のメリスマ(下降形で強調、下に向かってしぼまない、さらにメリスマなので、2重の強調
loのあとのクストスは次の段のレの音を示す(フランシスコ会はクストスを大事にする、典礼写本には正確に美しく記載されていて、修道会の厳しい鉄則を表す、音をまちがえずに歌えるように~中部イタリアは早くからクストスが発達した~パリのドミニコ会にも伝搬していく)
primer (最初の、という意味)frate 3つのリガトゥラ、 minore ひし形で降りてくる形でメリスマの強調(最初の小さき兄弟→フランシスコのこと)
*フランシスコ会修道会の正式名称はordo fratrum minorum「小さき兄弟会」という

ストロフェ
A)San Francesco, amor dilecto, (San Francesco(固有名詞) 音域を上げることで強調)
B) Cristo t’a nel suo cospecto,
A) perho ke fosti ben perfecto
e suo diricto servidore

*ABBAA(当時の舞曲などの世俗の形式、必ずR(リプレーザ)にダカーポする
*わかりやすいRのAのメロディーを覚えれば、ストロフェの後半を簡単に歌える
*まん中のBは同じ旋律の組み合わせ、同じようなネウマの形状が並んでいてわかりやすい
*ただし、音価はあってないようなもの、拍節的にはすすめない
*メロディーは耳から聞いて覚えた素朴なものであった
*13世紀コルトナラウダの写本はこれ一冊しか現存しておらず、
他に伝承があれば比較検証できるのに、それは不可能
おかしなところがあってもミスなのか正しいのか問題は山積している
学者にも解読の仕方にいろいろな説がある
たとえば1)Venite a laudare もリプレーザからストロフェに行くときに6度上がるか(杉本説、途中で旋法が変わり、曲のカラーが変わる)、オクターブ上がるか(有力説、旋法の混迷が少ない)、ふたつの説がある
ラウダは口頭伝承であり、この写本は「作曲した物」ではなく、聞いたものを書きとめたものであり、書きとめた人の音感、音の把握能力にもよるのでこれがすべて13世紀以前から残っていて正しいものだ、というものでもない。
そもそもこれは歌うための楽譜ではない~一冊しかないし、とても小さい~みんなで歌うためのものではなく、覚書程度のものである
14世紀フィレンツェ写本に伝承しているものもたくさんあるので、それで比較検討することしかできない

リプレーザとストロフェを覚えて、9番まで順番に歌った

37) Sia laudato San Francesco

この曲は、映画(ブラザーサン・シスタームーン)で使われて、一般的にもとても有名
だが、写本をそのまま読むとメロディーがマイナーになっていてちょっと違う、しかしフィレンツェ写本を見ると、現在知られているメロディーと同じメジャーの楽譜になっているので、杉本説ではメジャー説をとっている
*曲の作りはちょっと複雑な構造で、リプレーザとストロフェがとてもよく似ているが、少しづつ変奏され、発展していく、ラウダには珍しいタイプ
*フランシスコ会士しか書けない内容の詩

リプレーザとストロフェを練習して、四苦八苦しながら5番まで歌った

☆来年度は中世音楽全般のことと関連しながら、13世紀の、旋法やクレフやクストスの不明な楽譜の解読とか、また13世紀コルトナ写本と14世紀フィレンツェ写本の比較して問題点を発見したりなど、歌いながらも一曲一曲を文化史的に深めるクラスにしていきたい、とのことです。ぜひ、続けて受講してくださいね!発表会もがんばりましょう。

(K.M)
by fonsfloris-k | 2012-11-26 14:00 | 講座レポート
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