人気ブログランキング | 話題のタグを見る
3月24日 アンサンブルクラス(関西)
13:30-17:30 於ノワ・アコルデ音楽アートサロン
「アンサンブルクラス 中世の音楽」
受講:9名(S3、A3、T2、B1)

内容
<1>Machaut, la messe de nostre dame
・写本ではこの曲の最初に「ここに聖母のミサが始まる」と書いてあるので、ノートルダム・ミサの名がついている。
・「史上初の一人の作曲家による通作ミサ」と言われている。他にも、トゥルネーのミサ、バルセロナのミサ、ソルボンヌのミサ、など同時代の通作ミサはいくつかあるが、一人の作曲家による、ということが貴重。
・二つの大きな様式がある。
・1つはisorhythm(イソリズムorアイソリズム):Kyrie、CredoのAmenの部分、Sanctus、Agnus Dei。メンスーラ的には3分割系。
・もう1つは朗唱様式(declamationなどともいう):Gloria、CredoのAmenの前まで。メンスーラ的には2分割系。
・このような様式は14世紀のミサの一つの伝統でもあるので、マショーのノートルダム・ミサはこのような様式の集大成ともいえる。
・1360年頃にこのミサが作曲された後、通作ミサは1420年代のイギリスまでほとんどみられない。

<2>isorhythmと黒色計量記譜法
・isorhythmとは同じリズムパターンが繰り返されるという意味。isoとはギリシャ語で「同じ」の意味。
・isorhythmという言葉は中世からあったわけではないが、そのかわり、taleaとcolorという言葉があった。
・taleaとはリズムパターンのこと。ラテン語で、一節、切り取ったもの、一切れ、という意味。フランス語でテノールパートを表すtailleも同じ語源。
・colorとは音の高低のこと。
・14世紀のモテットによく使われている技法。
・グレゴリオ聖歌には決まったリズムはないけれど、2声3声とポリフォニーになるについれ、リズムパターンが生まれた。オルガヌムの時代。モテットが成立していく。
・聖歌を保って歌う人がtenor。対旋律で違う言葉で歌う人がmotetus。フランス語の「言葉」という意味が語源。3声目がtriplum。3声目という意味。3声が14世紀のポリフォニーの基本的な編成。3声がうまく成り立つようにリズムをあてはめる。一節の旋律とリズムのパターンをくりかえす。taleaとcolorは必ずしも一致しないでずらしたりすることがあり、それがおもしろい。たとえば、taleaが3回のところにcolorが4回入ったりする。
・白色計量記譜法はsemibrevis単位であったのと違い、brevis単位になっている。

<3>Machaut, la messe de nostre dame, Credoについて
・左上がtriplum、左下がmotetus、右上がtenor、右下がcontratenor。音域的には、triplumがソプラノ、motetusがアルト、tenorがバス、contratenorがテノール。
・Amenの前まで朗唱様式。二分割系。Amenはイソリズム。三分割系。
・Amenの前で3つの部分に分かれ(ちょうどページ毎に分かれ)、それぞれがさらに3つの部分に分かれている。区切りは、triplumのパートでlonga休符があるところ。その休符のところでtenorとcontratenorがつなぎの旋律を歌うようになっている。
・Kyrie、Gloriaなどは通常唱のグレゴリオ聖歌を定旋律に使っている。そういう意味で聖母ミサの流れといえる。それに対して、Credoにはそういう聖歌の存在はほとんどない。第一旋法的だが、クレドI番の第四旋法の断片もあり、途中はミで終わる感じのところが多い。Amenもtenorはグレゴリオ聖歌というよりマショーが作曲したと思われる。

<4>Machaut, la messe de nostre dame, Credo - 1枚目
・tenorを全員で歌ってみる。まずリズムをつけないでグレゴリオ聖歌のように。次にcontratenorと2声で合わせてみる。
・tenorを全員でリズムで歌う。音符のリズムで歌うのではなく、言葉を歌うように。
・ミが出てきたらかなり高めに。引きつって。
・まとめて書いてある音符はだいたい一音節。
・tenorとcontratenorと2声で歌う。contratenorの音は旋律的にとらえるのではなく、つねにtenorに対旋律をつける上で音が選択されたと考える。
・metetus、triplumも合わせる。音を取るとき、tenorにつける装飾として後から付け加えられたものだというイメージを常に持ち続ける。
・各パート、それぞれtenorと2声で合わせてtenorとの関係を考える。tenorから音程を取る。
・五度の音程をつねに気をつける!

*ミの感覚を身につけましょう。つねにテノールとの関係を感じましょう。

(N.I.)
by fonsfloris-k | 2013-03-24 13:30 | 講座レポート
<< 3月27日ソルミゼーション~中... 3月23日総合講座 グレゴリオ... >>