13:30-17:30 於ノワ・アコルデ音楽アートサロン
「アンサンブルクラス 中世の音楽」 受講:9名(S3、A3、T2、B1) 内容 <1>Machaut, la messe de nostre dame ・写本ではこの曲の最初に「ここに聖母のミサが始まる」と書いてあるので、ノートルダム・ミサの名がついている。 ・「史上初の一人の作曲家による通作ミサ」と言われている。他にも、トゥルネーのミサ、バルセロナのミサ、ソルボンヌのミサ、など同時代の通作ミサはいくつかあるが、一人の作曲家による、ということが貴重。 ・二つの大きな様式がある。 ・1つはisorhythm(イソリズムorアイソリズム):Kyrie、CredoのAmenの部分、Sanctus、Agnus Dei。メンスーラ的には3分割系。 ・もう1つは朗唱様式(declamationなどともいう):Gloria、CredoのAmenの前まで。メンスーラ的には2分割系。 ・このような様式は14世紀のミサの一つの伝統でもあるので、マショーのノートルダム・ミサはこのような様式の集大成ともいえる。 ・1360年頃にこのミサが作曲された後、通作ミサは1420年代のイギリスまでほとんどみられない。 <2>isorhythmと黒色計量記譜法 ・isorhythmとは同じリズムパターンが繰り返されるという意味。isoとはギリシャ語で「同じ」の意味。 ・isorhythmという言葉は中世からあったわけではないが、そのかわり、taleaとcolorという言葉があった。 ・taleaとはリズムパターンのこと。ラテン語で、一節、切り取ったもの、一切れ、という意味。フランス語でテノールパートを表すtailleも同じ語源。 ・colorとは音の高低のこと。 ・14世紀のモテットによく使われている技法。 ・グレゴリオ聖歌には決まったリズムはないけれど、2声3声とポリフォニーになるについれ、リズムパターンが生まれた。オルガヌムの時代。モテットが成立していく。 ・聖歌を保って歌う人がtenor。対旋律で違う言葉で歌う人がmotetus。フランス語の「言葉」という意味が語源。3声目がtriplum。3声目という意味。3声が14世紀のポリフォニーの基本的な編成。3声がうまく成り立つようにリズムをあてはめる。一節の旋律とリズムのパターンをくりかえす。taleaとcolorは必ずしも一致しないでずらしたりすることがあり、それがおもしろい。たとえば、taleaが3回のところにcolorが4回入ったりする。 ・白色計量記譜法はsemibrevis単位であったのと違い、brevis単位になっている。 <3>Machaut, la messe de nostre dame, Credoについて ・左上がtriplum、左下がmotetus、右上がtenor、右下がcontratenor。音域的には、triplumがソプラノ、motetusがアルト、tenorがバス、contratenorがテノール。 ・Amenの前まで朗唱様式。二分割系。Amenはイソリズム。三分割系。 ・Amenの前で3つの部分に分かれ(ちょうどページ毎に分かれ)、それぞれがさらに3つの部分に分かれている。区切りは、triplumのパートでlonga休符があるところ。その休符のところでtenorとcontratenorがつなぎの旋律を歌うようになっている。 ・Kyrie、Gloriaなどは通常唱のグレゴリオ聖歌を定旋律に使っている。そういう意味で聖母ミサの流れといえる。それに対して、Credoにはそういう聖歌の存在はほとんどない。第一旋法的だが、クレドI番の第四旋法の断片もあり、途中はミで終わる感じのところが多い。Amenもtenorはグレゴリオ聖歌というよりマショーが作曲したと思われる。 <4>Machaut, la messe de nostre dame, Credo - 1枚目 ・tenorを全員で歌ってみる。まずリズムをつけないでグレゴリオ聖歌のように。次にcontratenorと2声で合わせてみる。 ・tenorを全員でリズムで歌う。音符のリズムで歌うのではなく、言葉を歌うように。 ・ミが出てきたらかなり高めに。引きつって。 ・まとめて書いてある音符はだいたい一音節。 ・tenorとcontratenorと2声で歌う。contratenorの音は旋律的にとらえるのではなく、つねにtenorに対旋律をつける上で音が選択されたと考える。 ・metetus、triplumも合わせる。音を取るとき、tenorにつける装飾として後から付け加えられたものだというイメージを常に持ち続ける。 ・各パート、それぞれtenorと2声で合わせてtenorとの関係を考える。tenorから音程を取る。 ・五度の音程をつねに気をつける! *ミの感覚を身につけましょう。つねにテノールとの関係を感じましょう。 (N.I.)
by fonsfloris-k
| 2013-03-24 13:30
| 講座レポート
|
リンク
タグ
2009-2010東京(103)
グレゴリオ聖歌入門/東京(57) グレゴリオ聖歌演奏法/東京(39) 総合講座/東京(38) 2009/10フラバロ(38) 2009-2010関西(36) ルネ1/東京(31) 2017-2018東京(30) ルネ2/東京(28) オルガヌム(24) アンサンブルクラス/関西(18) 総合講座/関西(17) 入門/東京(15) 音楽史/東京(14) 中世移動ド(13) 中世の音楽を歌う/東京(12) ルネサンス/関西(10) 一般クラス/関西(7) ラウダ(6) グレゴリオ聖歌/関西(4) 以前の記事
2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2016年 04月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 カテゴリ
検索
その他のジャンル
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||