第3回
【総括】 ・今日は久々の哲郎先生の回でした。 ・6. Torculusを復習し、新たに 7. Climax、8. Scandicus を学びました。 【前半】―6. Torculus の復習と7. Climax 6. Torculus (トルクルス) ・トルクルスはペス (4. Pes) とクリヴィス (3. Clivis) が組み合わさった形と思って良い。 ・ペスには第2音目に向かう動きがあるが、トルクルスでもその動きは反映され、第1音目から第2音目へと向かう。 ・前回 (6/6のアシスタント回) で解説した「特殊トルクルス」(第1音目が非常に軽く、第2・3音目が重くなるトルクルス) は、概念としては既に使われなくなっている。なぜなら、第1音目より第2音目の方に力点が置かれることはトルクルスの自然な動きであり、特殊なことではないから。 →現在では「initio debilis (イニツィオ・デビリス)」(日本語では「始部希薄 (しぶきはく)」) という言われ方が一般的。 ・トルクルスのよく登場する聖歌 : “Gaudeamus omnes in Domino” (GT 545-546) →・おとめ殉教者聖アガタの記念日のミサの入祭唱。歌詞の「Agathae martyris」と「passione」の部分を変えることによって、他の記念日にも歌われる聖歌。(GT 591には8月15日の聖母被昇天のミサで歌われるバージョンが載っている) ・冒頭の「omnes」にあてがわれたトルクルスは「initio debilis」(始部希薄) のトルクルス。四角符ではトルクルスの第1音が欠落している。(ランのネウマは流れないクリヴィスを示している) 7. Climax (クリマクス) ・3音の下行形を表すネウマ。 ・基本形は「ヴィルガ+プンクトゥム+プンクトゥム」。3音とも軽い。194,4「mo-ri-ar」 ・3音目が低い場合には、第3音のプンクトゥムが斜めの線 (gravis: グラーヴィス) になる。73,7「la-que-o」 ・1音目のみ長くなる場合、ヴィルガにエピゼマを付加。76,1「quo-ni-am」 ・すべての音が長くなる場合、「ヴィルガ+トラクトゥルス+トラクトゥルス」と記譜。294,7「est」、197,4「bo-nus」 ・第3音のみ長くなる場合、「ヴィルガ+プンクトゥム+トラクトゥルス」と記譜。148,4「il-lum」 ※第1音目のヴィルガの音価は、第2音目が「プンクトゥム」の場合には「短く」、「トラクトゥルス」の場合には「長く」なる。 →つまり、始めのヴィルガの音価は第2音のネウマによって決まる。 (※ヴィルガにエピゼマが付加されているときは話は別で、第2音目のネウマに関係なく長い。) ・第2音目・第3音目のみ長い場合には、「クリヴィス (第2音目にエピゼマ)+トラクトゥルス」と記譜。75,5「la-pi-dem」 ・4音以上のクリマクスもある (拡大版) →・75,5「la-pi-dem」(1・2音目が長く、3・4音目が軽い4音クリマクス) ・(捕捉) 16,5「me」(流れない5音クリマクス) ~休憩~ 【後半】―8. Scandicus― 8. Scandicus (スカンディクス) ・3音の上行形を表すネウマ。 ・基本形は「プンクトゥム+プンクトゥム+ヴィルガ」。単独で用いられることはなく、後ろにプンクトゥムを伴っている場合が多い。143,4「pro-nunti-an-tes」、143,5「ex-cel-sis」 ・「トラクトゥルス+トラクトゥルス+ヴィルガ」の場合、流れない。601,3「in」、601,8「tri-bu-la-vit」(「ヴィルガ+ヴィルガ+ヴィルガ」の場合もある。231,3「be-ne-di-ci-te」) ・第1音目を強調する場合、「トラクトゥルス+ペス」635,4「vi-de-o」 ・第2音目を強調する場合、「ペス+ヴィルガ」445,1「sta-tu-it」、281,4「fac-tus」 ・4音以上のスカンディクスもある (拡大版) →・352,6「ad-iu-tor」(最後の音に向かう5音スカンディクス) ・285,2「Do-mi-no」(流れない4音スカンディクス) ・47,7「im-pe-ri-um」(後ろの2音のみが流れない4音スカンディクス) 【次回 (8/8)】 ・次回はアシスタント回です! ・クリマクスとスカンディクスについて復習し、その後「4音以上を含むネウマ」(9. Porrectus flexus、10. Pes subpunctisなど) に進みます! ・今回学んだクリマクスとスカンディクスには基本形以外の種類がたくさんあり、それぞれ意味が異なるので、上記の具体例を参照しながら一つ一つ押さえておきましょう! (K.W.)
by fonsfloris-k
| 2015-07-04 10:00
| 講座レポート
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