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7月25日 グレゴリオ聖歌入門 第4回
第4回 (アシスタント回)

前半【Viatimae paschali laudes の復習とアンティフォナ Laeva ejus】

◎Viatimae paschali laudes (pp. 8-9)

  • まず一通り歌った後、歌詞を読みました。
  • 楽譜の区分線は、歌詞の意味の切れ目とよく対応しています。(日本語訳の「、」のときには小区分線、「。」のときには中区分線や複縦線というように)
  • 第一旋法の響きを確認しました。ハミングでフィナリス(=レ)とドミナント(=ラ)の響きを共有しました。曲の中では、この2つの音を柱として、その周りを旋律が漂うようなイメージで歌うと良いでしょう。
  • 「常にハモっている感覚」
    →2つのグループに分かれ、片方のグループがハミングでフィナリスやドミナントの響きを作り、もう片方のグループがその響きと「常にハモっている感覚」で旋律を歌う、ということをやりました。グレゴリオ聖歌はユニゾンの音楽ですが、歌う際には自分自身の心の中で「フィナリスやドミナントを想像」して、その想像上の響きと「常にハモっている感覚」で歌うと、より美しく歌えるのではないかと思います。この感覚の効果でしょうか、皆さんと良い響きを共有できた気がしました。音程が跳んだり高くなったりするときに、ハモる感覚が失われやすいので気を付けましょう。

◎アンティフォナ Laeva ejus (p.10)

  • テキストのp.9まではミサで歌われる聖歌でしたが、p.10からは聖務日課で歌われる聖歌となります。
  • 聖務日課はミサとは異なる典礼で、一日をいくつかの時間区分に分け、その決まった時刻に行われる祈りです。中世では一日に8回行われていました(p.10参照)。その中で今回は「晩課」と呼ばれる、夕方の聖歌日課で歌われる聖歌、さらに言うと、特に聖母を記念した晩課(聖母の晩課)で歌われる聖歌を学びます。
  • 聖務日課の重要な要素は、「詩篇を唱えること」です。詩篇は旧約聖書の祈りの言葉で、全部で150篇あります。中世においては、一週間の聖務日課で150篇全てを唱えました。
  • 詩篇はメロディーというか、比較的単純な節を付けて唱えます。そして、詩篇の前後には、「アンティフォナ」と呼ばれる短めのグレゴリオ聖歌が歌われます。p.10 の下にある楽譜は、「聖母の晩課」の中で歌われるアンティフォナ Laeva ejus です。
  • 「アンティフォナー詩篇ーアンティフォナ」というセット
    →アンティフォナ Laeva ejus を歌うとそのまま、p.11にある詩篇(Dixit Dominus…)に続きます。そして、この詩篇を第10節(…saecula saeculorum. Amen.)まで唱え、唱え終わると、p.10 のアンティフォナ Laeva ejus に戻り、もう一度このアンティフォナを歌います。したがって、「アンティフォナー詩篇ーアンティフォナ」というのが一連のセットになります。晩課においては、このセットを4セットないし5セット行います。
  • 休憩前に、このアンティフォナを歌いました。第4旋法で、フィナリスは「ミ」、ドミナントは「ラ」となります。この2つの響きをハミングで共有し、旋律を歌いました。"et dextera" のところで音が4度飛びますが、降りた音が「ガツン」となりがちです。降りた音も常にハモっている感覚で歌うと良いでしょう。
  • 楽譜の2段目にある"T.P."というのは、"Tempore paschalis" の略で「復活節」の意味です。復活節の時期には、ここにある「アレルヤ」も一緒に歌われます。
  • また、楽譜のアレルヤのあとにある"E u o u a e"ですが、これは歌うところではありません。これは、p.11にある詩篇の最後の部分、"saeculorum. Amen."の母音のみを取り出したものなのです。なぜそんなものが必要なのかというと、"E u o u a e"に付された旋律が、詩篇を唱えるときのメロディーの付け方を教えてくれるからなのです。詩篇の唱え方にはいくつかの方法があるのですが、このようにアンティフォナの最後に"E u o u a e"で示すことによって、どんな節回しで詩篇を唱えれば良いか分かるわけです。

~休憩~
後半【詩篇唱】

  • 既に書きましたが、詩篇とは旧約聖書の祈りの言葉です。唱える際にメロディーが付きますが、それは歌というよりもまさにお唱えです。
  • まず1節から10節まで歌詞を読みました。各節はアスタリスク(*)によって前半後半に分かれています。詩篇をよどみなく唱えるには、とにかく言葉がするすると読めることが肝心です。
  • 各節とも、文字がイタリックになっているところや太字のところがありますが、そこで唱えるときのメロディーが動きます。動き方については、上の楽譜が示しています。
  • 唱え方ですが、楽譜の黒い音符を原則歌います。白い音符がありますが、これはここに音節がある場合に歌います。つまりここでは、3音節(Fi-li-oなど)の場合には白い音符を歌うということになります。
  • 詩篇を唱えるポイントとして、歌いだしはチョロチョロと優しく始め、太字のところに向かって流すようにすると良いです。また、アスタリスク(*)の部分ですぐにブレスを吸わないようにしましょう。少しだけ無音の時間を作り、それからブレスを吸い、節の後半を唱えます。

【次回】

  • 次回は最終回となります!
  • 今回学んだ詩篇唱は、次回も復習すると思いますが、特に言葉に慣れる必要があります。個人的に、するすると言葉が出るように練習すると良いと思います。また、p.13のマニフィカトも詩篇唱と同様のスタイルの聖歌ですので、こちらも予習として言葉を見ておくと良いでしょう。
  • テキストの残りの部分(pp.12-15)も聖務日課で歌われる聖歌です。今回に引き続き、最終回の次回も聖務日課の聖歌を学んでいきましょう!


(K.W.)
by fonsfloris-k | 2015-07-25 13:00 | 講座レポート
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