第5回
配布プリント 通常唱 歌詞対訳 (A3一枚) 今回もアシスタント講座でした。 ミサで歌われるグレゴリオ聖歌の中で残っていたCommunio(拝領唱)を学び、さらに全体の復習へと進みました。 なお、ミサの中ではCredoも歌われますが、例えば今回歌うミサX (10番)は、Kyrie / Gloria / Sanctus / Agnus Dei の4曲でセットになっていて、Credoは別にいくつかある中から任意で選ぶという形なので、今回は歌いません。 Communio: Ecce virgo concipiet テキストはEpistola(3ページ)で既出のイザヤ書の一節、また、この預言の成就として、天使ガブリエルがマリアに告げる言葉(ルカの福音書)に通じる一節でもあり、この祝日のための歌になっています。 拝領唱は、もともとは入祭唱と同じ形式で、途中に詩編唱と小栄唱が挟まれ何度も繰り返されるものでしたが、現在のGradualeでは省かれて、いわゆるアンティフォナの部分のみが書かれています。 この曲は第1旋法ですから、レ-ラの5度をしっかり感じて伸びやかに歌いましょう。 小さな単語ごとのまとまりや一つ一つのネウマの動きをきちんと確認すると同時に、もう少し大きなフレーズを見渡して(例えば小区分線ごとくらい)、そのフレーズがそのように動いてどの音に向かうのか、着地点をしっかり意識して大きな流れは止めないように歌っていきましょう。 Ecce virgo concipiet レからソ、レからラへ伸びて少しずつレに戻ってくる。 et pariet filium レからラを経てさらに上のド・レに達し、ラに落ち着く。 et vocabitur以降~ ラの周りを動きつつ、徐々に降りてくる。nomenのファにつられてシに b がつきます。(ただフラットが書いてあるからその音を歌うのではなく、その音になるということの意味・その流れをよく感じて動きの一部として自然に感じられるように歌いましょう。) 最後のEmmanuel はレからラまで駆け上ってから静かにフィナーリス・レの音に降りてきましょう。 発音はいつも言っているように、口をあけすぎない、横に引っ張らないように、口の先の神経・筋肉を意識して使いましょう。 子音と母音もしっかり意識しましょう。子音を準備する瞬間・子音が発音される瞬間・直後に(連続的に)母音に移行する瞬間・母音が引き伸ばされている場合は、その母音が固まらないでやわらかく響き、また次の子音の準備へと向かう・・・。 この流れの中で動きが止まったり固まったりしないように、常に動いていることに慣れていきましょう。 以上のようなポイントを全員が意識していれば、自然と響きや動きも一つになってきます。響きが心地よく空間を満たしてきたら、 全員がそれを壊さないように、キープして歌っていきましょう。 第1旋法の短い曲で、動きも分かりやすいこともあり、何度も歌っているうちに、良い響き・良い流れを感じながら一体感を持って歌えるようになってきました。 この感覚を忘れないようにしましょう。 Ite missa est ミサの終わりは、Ite missa est / Deo gratias が唱えられます。 非常にシンプルなトーンで唱えられる時もありますが、Kyrie の出だしのメロディーに乗せて歌われることもあります。 プリントのIte missa estは、ミサ10番のKyrieでなく、同じ第1旋法ですが9番のミサのKyrieのメロディーのものでした。 形としては、Ite missa estを司祭が歌い、全く同じメロディーで会衆が応えて Deo gratias と歌います。 復習 〈Introitus/Kyrie/Gloria/Graduale/Tractus> 一応すべての曲とミサの流れを学んだので、もう一度最初のIntroitusからできるところまで復習していき、Tractusまで歌いました。 復習においては、以下ののことに注意しながら歌っていきました。 まずは、その曲のテキスト・旋法・形式・固有唱か通常唱の違いなどを、きちんと確認して、各曲の特徴・曲風やミサにおける役割を理解する。 言葉の意味から動きが始まり、メロディーになったことを常に意識しつつ、動きをイメージする助けとして旋法やネウマを使いながら歌っていく。 発音・発声に注意して、響きを全員で感じながら、響きに守られながら歌っていく。 入祭唱、またKyrieやGloriaなどはメリスマも少なく、言葉を唱えることにより重点が置かれます。音に音節を当てはめるのでなく、言葉の流れなのかで音が移ろっていくように、気をつけましょう。その中で間違いやすい音などがいくつかあると思いますので、そこはしっかり確認して練習しておいてください。 Graduale は、長いメリスマもあり、特にVersusの部分はもともとソロで歌われるので、比較的自由で装飾的な動きがたくさんあります。 みんなで歌うとどうしても軽やかさが失われてしまいがちですので、気をつけましょう。あまり全員で確認しながらまとめにかからないで、軽く次へ次へと流れていけるように、そのためにはしっかり各自で復習をしておき、行き先をきちんと把握しておくことが重要です。 Tractus は、長いテキストを味わいながら、繰り返し出てくる定型フレーズの中で、瞑想的に唱えていくものですので、特に歌詞の意味をしっかり捉えて、また発音などもしっかり練習して歌いましょう。 今回は、メロディーとテキストを全員でしっかり確認するために、交唱したりソロで歌うことなく、すべてを全員で歌いました。 復習する中で、各自難しかったところや間違いやすいところなど、再発見したと思います。 次回の講座までに、今回復習できなかった後半も含めて、もう一度しっかり見直しておきましょう。 (Y.N.)
by fonsfloris-k
| 2015-09-12 13:00
| 講座レポート
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