Heinrich Isaac 第8回
いよいよ発表会にむけて、本格的にクワイヤブックを使って合わせていく練習にとりかかりました。 Introitus:Rorate Caeli 本番では以下の流れで歌います。 ①グレゴリオ聖歌を全員で斉唱(Graduale Novum版) ② Isaacのポリフォニー (グレゴリオ聖歌の4度上) ③Isaacの詩編唱 ④グレゴリオ聖歌でGloria Patri~ ⑤ Isaacのポリフォニーに戻る なお、Gloria Patri~の終わりAmenの menは、詩編唱の最後 firmamentum の tumの音型(レドレレミ)に合わせることを改めて確認しました。 ・グレゴリオ聖歌 第1旋法の レ-ラ をよく感じて歌いましょう。また、desuper のように同じ音(ド・レ)が続いているような音形のところは、ネウマの形や指示文字などを参考にしつつ、重みがどこにくるのか考えましょう。決して全ての音を同じように押して歌ってしまわないように。また、同じ音型でも必ずしも同じように歌うとは限りません。(例えばterra とgermineの ne〈ファソファレ〉) Rorate caeli→ desuper pluant→ justum の→の部分はさっと繋げて歌いましょう。特にjustumは段が変わるところですが切れないように。et germinet→ Salvatorem も同様につなげます。germinetの終わりはゆっくり レ に降りてきますが、その レ の音を次の上昇への足がかりとして、しっかり準備しながら切れることなくSalvatoremへと向かっていきましょう。 ・Isaacポリフォニー 出だしはCt の付点が動きを作り出します。低い音でも響きを保って歌えるように。 Superiusの desuper、付点の後の短い音を使って su(メロディーの最終音のひとつ前の音)で盛り上がってから最後の音に向かいます。 Bassus、1枚目の一番下の段 pluantのant の位置が変わりました。チェックしましょう。(テキストが書かれている ド の音ではなく、次のファに入れる。) 模倣のメロディーを最初に歌うパートは、自覚を持って出だしをしっかり、特にウラから出る場合に、休みの後の出だしが曖昧にならないように。そして後に続くパートは、最初に出た人たちと同じように歌って続いていきます。(常に自分が最初に出るのか、他のパートを追いかけてるのか分かっているように、自分のパートだけに集中しすぎないで、まわりの音をしっかり耳で捉えておきましょう。) 2枚目終わりのSalvatoremで動きが遅くなってしまいます。各パートリズムに気をつけて、さらりと合わせましょう。テノールのSalvatoremのvaの前の動きはファレファレなので間違わないように何度も確認しておいてください。(ファミファレと歌いたくなる。) Bassus最後のSalvatoremのリズムに注意しましょう。 3枚目のはじめ、Superius以外は、Et opera で始まります。最初の飾り文字がCeのように見えがちですので、テキストの内容もしっかり理解しつつ、読み間違えないように気をつけましょう。 このページは、みながほとんど同じリズムで歌っていきますので、ただの音節の羅列にならないように、各自がしっかり言葉の意味と文章の流れを感じて共有した上で、発音等にも気をつけながら進んでいきましょう。manuum ejus はリエゾンします。(マニュオ~メージュスのような感じになります。) 最後の音は3声が ソ 、Ctのみ レ になります。ソのパート3声はしっかり合わせてCtが入りやすいようにしてあげましょう。またCtは下のソから5度をしっかり感じましょう。各自が勝手に音を歌うのでなく、いつもお互いの(音程)関係の中で一緒に動く意識をわすれないように! 次に、本番では歌うかどうか分からない(多分歌わない) Communio:Ecce virgo concipiet もグレゴリオ聖歌→Isaacポリフォニーの順で歌いました。 短い曲ですが、各声部がわりと激しく動き、かつ動きがずれたり一緒になったり忙しいです。お互いをよく聴きながらさらりと流れに乗りましょう。 練習番号②の一つ前でCtが終わりますが、全体としては次の音(②の頭の音ソとド)に向かっています。Ctはそのことをしっかり理解して最後の音をBassus に引き継ぐ感じでしっかり歌いましょう。 特に練習番号②以降のEmmanuelを取り上げて、SとCt、TとBで分けてしっかりと絡みを確認し、交通整理をしながら歌っていきました。 だいたいと通ったところで、休憩となりました。 まだ、各パート音が取りにくい場所や、言葉が入りにくい場所が見受けられました。これは各自練習しておくしかありませんので復習を忘れずにしておいて下さい。そしてみんなで合わせる時には、他のパートとの音程関係に注意を払って、少なくともユニゾン・五度・オクターブは聞き逃さないように、歌いながらチェックする癖(歌いながら他のパートの動きを一緒に感じる癖)を付けていけるといいですね。 後半はTractusを通していきました。 まずはグレゴリオ聖歌から。本来は交唱で歌うものですが、練習のため、全員で全ての節を歌いました。 少しずつ、慣れてきていて、繰り返し出てくる定型のメロディーなどもすらすら歌えるようになってきましたが、発音や音程など、まだ甘い部分も見受けられました。軸になる音の周りで動いているときなど、Introitusでもやったように、一音一音しっかり歌いすぎないで流れることや、軸になる音に来た時に同じピッチを保つことなど細かな部分まで気を配って歌いましょう。広い全音、狭い半音にもしっかり慣れていきましょう。 また、ポリフォニーにも慣れてきたと思いますので、グレゴリオ聖歌のメロディーを歌う中で、ポリフォニーにも使われているフレーズを思い出してみましょう。 続いて Isaacのポリフォニー。 ・1節 Ave Maria は本来 T/B のデュエットですが、人数が少ないこともありますので、テナーパートをCtで、バスパートを男性全員で歌う事にしました。 ・2節 Benedicta tu は、Ct/Tの1セミブレビス・5度ずれのカノンに、バスが対旋律を歌う3声になります。テノールは慣れてきたら出来るだけ楽譜から離れて、先行するコントラを直接聞いて追いかけるくらいのつもりで歌いましょう。それくらい一体になって動くことが必要です。声部が少ない分、縦の関係でユニゾン・4度・5度・オクターブになるとことは絶対に聞き逃さないように、お互いが気を使って歌っていきましょう。 ・3節 Ecce concipies Ct/S のデュエットから始まり、あとからB/Tが加わっての4声になります。出だしのEcceや Et pariet あるいは Et vocabiturなど、グレゴリオ聖歌そのままのメロディーがしっかり感じられます。それらがさらに模倣されていきますので、全員でしっかり共有して歌っていきましょう。 ・4節 Quomodo S/C のデュエットです。マリアの問い(下降音型) と天使の答え(上行音型)、テキストの内容がそのままメロディーにあらわれています。意味をしっかり感じ場面を想像しながら歌いましょう。 ・5節 Spiritus Sanctus テノールとスペリウスの模倣をしっかりお互い感じながらうたいましょう。また、出だしのT/B、ユニゾンから5度への広がりをしっかり歌いましょう。ユニゾンは本当に1点から始められるように、意識を持つことが重要です。練習番号⑫のあと in te は S/T同時に始まります、お互い分かっておきましょう。 ・6節 T/Ct のデュエットから始まります。最初は5度上での模倣ですが、et quodからは同じ音程になります。お互いよく聴きあって歌いましょう。また練習番号⑭の前テノールは終わりますが、その直前にバッススが入っていてコントラの終わりと繋がります。それぞれの役割をよく理解して絡んでいきましょう。 ⑭以降はコロル(3拍子)があったり、各声部のメンスーラが違ったりと少し複雑な見た目になっていることもあり、まださっと通るようにはなっていませんでした。もう少し各自練習が必要ですね。楽譜の理解が難しい方は、音(フレーズ)として先に記憶してしまうほうが良いかも知れません。 こちらもまだ各パート毎にいくつか課題が残っていました。しかし、今回通せたことで、だいぶ各自の課題は明確になってきたのではないでしょうか? 特にこちらの曲は、みなさんの手許の楽譜がパート譜のみで、クワイヤブックを見て歌えるのは講座のときだけですので、しっかり復習して頭を整理しておいて、講座ではクワイヤブックの眺めになれることに集中できるようにしておきましょう。 また、Introitus、Tractusともに、歌う順番や声部の数など少し流れが複雑ですので、それらもまごつかないように、しっかり復習しておいてください。 全体としては、 S:音域などはそれほど大変ではないですが、時々出てくる高い音域がキンキンしないように、逆に低めの音がゆるまないように、どこでも充実した響きでうたえるようにしましょう。また、細かい音で順次進行するようなフレーズのときに1つ1つの音を均等に歌ってしまわないで流れを作っていきましょう。短い→長い(ワフン)などを意識することや、長い音が頭に来ないように、常に細かな動きを意識して歌いましょう。また、フレーズの終わりの音と次の始めの音が同じピッチであっても、下で作られているハーモニーは違っていたりします。自分のパートがどのような動きの中で、どのような役割の音を出しているのか、常に聴きながら反応できるように注意しておきましょう。ハーモニーにふたをしてしまわないように! Ct:音域が広く動きも激しく大変難しいパートです。女声にはかなり低い音域がありますので、しっかりコントロールしていくことが重要です。低い音域では落ち着いて地声で話す時のような感覚で静かに歌いましょう。出そう出そうと思いすぎて息が多すぎたり、力んだりすると余計響かなくなったり、音程をコントロールできなくなります。少しリラックスして歌えるように練習してみてください。また、フレーズの最後が ド-レ で終わることが多いですが、それらの音程が低くなりがちでした。自分のメロディーを歌いつつも周りにあるはずの ソ の音をしっかりキャッチして、その音から4度・5度の音程をはめていきましょう。まず、自分が思っているピッチが低いことを自覚して、注意深く歌いつつまわりにあわせれば、はまってくると思います。頑張りましょう! T:跳躍や休みの後の音などで、取りにくい音がいくつかあります。また、Ctとは逆に男性としては高めの音域もありますので、張り上げないように気をつけましょう。CtとTは同じ音域で同じようなメロディーを歌う事も多いので、出来る限りお互いの響きに合わせるように、つまり強くなり過ぎないように注意しましょう。喉で音程を取らないように、またずりあげたりしないように、しかしカクカクしないように、流れていけるように練習しましょう。 B:模倣がいたるところにちりばめられている曲ですので、バッススにも細かな軽やかな動きがたくさん出てきます。バッススは音が重く遅くなりがちですので気をつけて下さい。テノール同様咽喉で音程を作らないように、響きを前に集めて流れていけるようにしましょう。そのためには発音も重要。とくに u の発音〔y〕や鼻母音オンなどしっかり発音の練習をしてその響きを使いながら喋りうたっていきましょう。跳躍も多いので間違いやすいところがないか自分でしっかりチェックしておいて下さい。 本番まであと2回です。人数が少ないので大変な部分もありますが、逆に小回りが効き、お互いの動きに軽やかに反応できるアンサンブルが出来ます。クワイヤブックに慣れて、耳をたくさん使ってお互いの響きを感じあえる演奏を目指して頑張っていきましょう!そのために各自自分でできる準備はしっかりしておいてください。 (N.Y.)
by fonsfloris-k
| 2015-12-19 13:00
| 講座レポート
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