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4月26日ノートルダム楽派の音楽(東京)
ノートルダム楽派や中世の宗教音楽の発展についての説明

ノートルダム楽派について

12~13世紀
フランス・パリで花開いた音楽で、本格的に音高とリズムが示される現存する最古の楽譜で表された多声音楽が、写本に多数残されている。
主な写本が3つあるが、これらは実際曲が作られた時代より後にコピーされたもの。
また、この時代を語るときに必ず出てくるレオニヌスとぺロティヌスという2人の人物の名前も、それより2~3世代後の人物(AnonymousIV)が書き残した論文の中で語られているだけで、ノートルダム楽派当時の直接の音楽や言葉を残す資料は現存していないので、不明なことやあいまいなことがたくさんある。

3つの写本やAnonymous IV
の言葉などから、この時代3つのジャンルの音楽がさかんに作られていたことがわかる。
オルガヌム・コンドゥクトゥス・モテトゥスで、形式としては分けられるが、曲の作られ方・発想は共通するものがある。

ノートルダム楽派の音楽は、即興と作曲(創作)の間にあり、曲が2声から3声~4声になっていく中で、一定のルールや形式、また記譜法が整ってきた。リズムモードとリガトゥーラ(連結音符)の知識があれば、ある程度曲を再現することはできるが、演奏する際は歴史的背景をいつも意識する必要がある。特に自然倍音を基にした協和音程などを、知識としてではなく、実際の響きの中で感じ取り、またそのように歌えるような歌い方を身につけて、実際の音に反応していく(即興的な)感性を養うことが重要。

中世の(宗教)音楽の特徴

キーワードは”パラフレーズ”。西欧に定着したグレゴリオ聖歌のテキスト・メロディーを基に、音と言葉によって次々に装飾を施され、説明や注釈が付け加えられ、華やかに長大になると同時に、次第に元の曲から離れ、独立した新しいジャンルが生み出されていった。
音によって:メリスマ・オルガヌム・クラウズラ・モテット
言葉によって:トロープス・セクエンツィア(プローザ)・モテット

今年度取り組む曲

Beatis nos adhibe/Benedicamus Domino (3声コンドゥクトゥスモテット)
Benedicamus
Domino (3声オルガヌム)

とりあえず、この2曲を学び時間があれば、さらに別の曲も歌うかも。
ノートルダム楽派やその1つ前の時代アキテーヌポリフォニー(サンマルシャル楽派)の時代の写本には、たくさん多声の BendicamusDominoが残されている。もともとこの言葉はミサの最後や聖務日課の中に出てくる非常に短いフレーズの受け答え。それがオルガヌムによって引き伸ばされ装飾され、さらにそこに言葉(テキスト)が挿入されて、一定のリズムの中で歌われたのが今回のコンドゥクトゥスモテット。
曲の動きとしてはすでに即興感はないが、まさに中世音楽のエッセンスが詰まった曲。
リズムなどはなんら難しいこともない曲だが、これをどれだけ協和音程や倍音を感じながら、そしてテキストと向き合いながら歌うことが出来るかが課題。1年じっくり取り組んでいきましょう。

以上説明のあと、当時の楽譜のコピーをみながら、まずは基となる Benedicamus Dominoの単旋律を、全員で歌う。
単旋律のメロディーの中にも、自然倍音的な残響からくる別の音や主(核)になる音というものが存在する。それを感じながら、旋法的な歌い方について学び、注意深く声と響きを合わせていった。

さらに、上2声のモテットのテキストとメロディーを一節ずつ確認していき、最後に3声で合わせることを繰り返した。
一つ一つの声部の役割や音の主従関係をいちいち意識し、しっかり頭、そして耳で認識した上で、確認しながら声を合わせる。
しかし、最終的にはそれが一体となり、言葉と響きが”動いていくこと”が最も重要。
響きを合わせるためには、発声や発音を合わせ、集中して五感を総動員することも必要。
少ししか進めなかったが、充実した響きが感じられた瞬間もあった。

次回は、続きをどんどん進んでいく予定ですので、言葉とメロディーとしっかり勉強してきてください。

(NY)









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by fonsfloris-k | 2015-04-26 14:00 | 講座レポート
4月18日 ルネサンス音楽入門(東京)
【記譜法と、その時代の音楽についての概要】
記譜法
・グレゴリオ聖歌→黒色計量記譜法→白色計量記譜法の流れ
その流れに印刷技術の果たした役割(アナログからデジタルへの変化のような劇的変化)

音楽の推移
・単旋律→ポリフォニー→ホモフォニー
 非拍節音楽から拍節的音楽へ、さらに和声的な音楽へ。

【白色計量記譜法について】
・音符・休符の長さ
 初めにできたのはLongaとBrevis、つまり「長と短」、そこからだんだんと単位が細かくなっていき、Semibrevis、最小としてのMinima、さらに人間の欲望とどまることなくSemiminima、Fusaができた。現代では4分音符と姿を変えたSemiminima、8分音符となったFusaを基準の単位とすることが多い(4/4拍子や6/8拍子のように)。ビクトリアの時代にはSemibrevisを一拍として数える(つまり現代の感覚で言うと2/1のような感じ)。
 
・リガトゥーラ
グレゴリオ聖歌のネウマからの発展を追う。基本は「短・長」のペア、そこから「短・短」「長・長」「長・短」のバリエーション
 左上に棒はセミセミ!

・メンスーラ
 LongaとBrevis、BrevisとSemibrevis、SemibrevisとMinimaとの関係は2分割か3分割がありうる。3分割が完全、2分割が不完全と考えられており、古くは3分割が主流だったが、ビクトリアの時代には多くは2分割となり、3分割はそれに対して変化をつけるために用いられた。

【ビクトリアのレスポンソリウム】
・パート
 左上がCantus、左下がTenor、右上がAltus、右下がBassus(ビクトリアの場合、ほぼSATBに相当する)。このように見開きでそれぞれのパートが一度に見ることのできる楽譜をコワイアブックという(それに対して、一つのパートのみ書かれた楽譜はパートブックという)。それぞれが別の音部記号で書かれていることに注意。
・記号
 シャープはXが二つ重なったような形、フラットは現代と同じ♭の記号。音符の右肩にある点は付点、これも現代と同じ。四角の1は、練習番号。
・その他の注意事項
Cantusの6段目、Tenorの2段目のリガトゥーラに注意、左上に棒は・・・?
 Bassusの一番下の段のLongaに注意。Semibrevis4拍分。
 繰り返しの指示Cumqueの後に書いてあるQuotidie ut supraは、Quotidie(それぞれのパートの3段目)を繰り返すという意味。
 Bassusは “Cumque tacet” 上三声のみのセクションです。

【次回】
・次回はアシスタント回です。
・基本事項を再確認しながら記憶の定着をはかります。
・今日譜読みしたページに言葉を付けます。表紙のページに歌詞が載っていますので、それを参考に、予習をしておいてください。読みにくい字、省略などは次回説明します。
・ビクトリアの曲はその先も譜読みをします。余裕のある方は少し予習をしておいてください。

G.S.
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by fonsfloris-k | 2015-04-18 14:00 | 講座レポート
4月18日 グレゴリオ聖歌入門(東京)
第1回
○配布資料:16頁分の小冊子1冊 (アシスタント注:ページ数を打っておくと良いと思います!)

・冒頭1時間程度、「古楽」の考え方や文献等の説明。
・グレゴリオ聖歌と一口に言っても様々なジャンル。(資料1頁)
・キリエ (ミサXVI) を歌ってみる (資料2頁)。四線譜の読み方の説明。
→①大きな「K」の上にあるローマ数字…旋法名を示す。この場合IIIなので、第3旋法。第3旋法は、終わりの音 (フィナリス) が「ミ」。ドミナントと呼ばれる重要な音が「シ」(「ド」の場合もある)。
 ②黒電話の受話器…ハ音記号。ここが「ド」なので、初めの音は「ソ」。ただしピッチは色々!
 ③「Kyrie」の後の「*」(アスタリスク)…ここまで先唱者 (カントル) が歌うことを示す。
 ④「bis」の文字…“Kyrie eleison” や “Christe eleison” を2回繰り返すことを示すが、それは現代式の歌い方 (第2バチカン公会議以降、神父と会衆の対話を重視するようになった)。中世以来グレゴリオ聖歌の伝統では、3回繰り返していた。このキリエでは、それぞれのセクションを第1、2、3、4とすると、第1セクション3回、第2セクション3回、第3セクションを2回、第4セクションを1回歌うと、“Kyrie eleison” を3回、“Christe eleison” を3回、“Kyrie eleison” を3回歌うことになる。
 ⑤交唱形式…聖歌隊を2グループに分け、歌い交わす。ただし最後の “Kyrie eleison” (第4セクション) は全員で歌う。
⑥ささやかな違いに感動する心。Ex. “Christe” の音程が上がっているところ。

・連祷のキリエ…キリエの原型?先唱者と全員で歌い交わす。

・聖母のミサのキリエ (資料4~5頁)
→①15世紀の写本。
②上から2本目の線にへ音記号。ただし、途中で移動するので注意 (5頁3段目で下から2本目、4段目で上から2本目、5段目で下から2本目に移動)。
③各段の最後の記号は「クストス」と言い、次の音を示している。
④5頁3段目の「シ」の音は「シ♭」にする。

○次回
・前回内容の確認。
・資料から漏れてしまった Sanctusの確認。
・Introitus: Ad te levavi に進む。

K.W.
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by fonsfloris-k | 2015-04-18 13:00 | 講座レポート
4月12日 アンサンブルクラス デュファイを歌う(関西)
4月12日(日)13:30-17:30 於母の家ベテル
「アンサンブルクラス デュファイを歌う」
受講:10名(S4、A2、T3, B1)

内容
<1>Du Fay, Missa Ecce ancilla Dominiの概要
・定旋律のグレゴリオ聖歌2曲Ecce ancilla DominiとBeata es Mariaはどちらもマニフィカトのアンティフォナ。
・デュファイについて学びたい方に参考書の紹介。単なる解説でなく、音楽に共感を持って書かれている。David Fallows, "Dufay", (The Master Musicians) 1982. Rev. pbk edition, 1987.
・Fallowsによると、晩年にあたる1462年と1464年にカンブレ(デュファイが育った町)に画期的なことが起こった。それは、オケゲム(当時フランス宮廷の宮廷楽長)がデュファイのもとを訪れたこと。この頃デュファイが大量の音楽(新しい音楽と思われる)を写本に書き写すように指示している。支払明細が残っている。その中にこのミサ曲も書かれている。オケゲムも、違う定旋律ではあるが、同じ祝日のためのミサを書いている。定旋律以外に共通点がある。おそらく、この時期にオケゲムとデュファイがこのミサについて影響し合ったと思われる。
・記譜されている音域が低い。Se la face ay paleなどとくらべても4度から5度低い。この時代の記譜された音域と実際の音域に絶対的な関係はない、とFallowsも書いている。定旋律を移調などしないで譜面通りに書いたことから。実際には4度から5度高くして歌ってよいと思われる。
<2>定旋律Ecce ancilla Dominiのグレゴリオ聖歌
・デュファイの定旋律に合わせて先生が旋律を修正したもの。
・第8旋法。
・デュファイを歌う時に旋法を感じながら歌うことに重点をおきたい。そうしないと平坦な音楽になってしまう。そのためにはどこが核になる音なのかを意識するためにグレゴリオ聖歌を学ぶ。たとえば、Dominiのところ、ソの響きが核になっていてあとは装飾のようなもの。まずソの響きを作る。
・Ecceでドミナントの響きを作る。verbumの-bumがpenultimaのような働き。
<3>Du Fay, Missa Ecce ancilla Domini, Kyrie
・第8旋法を感じながら歌いましょう。たとえばコントラの最初に第8旋法の響きソードが出てくる。すべてのパートでそういうことを意識しながら歌う。
・たとえば、コントラの9番目の音ラはpenultima。finalisやdominantの前の音がpenultima。
・penultimaをさがすこと。短ー長のリズムを常に意識すること。この2つが特に大事。
・ミでエネルギーをためて、ファで放出。
・同じ音の反復を同じ母音のままにしてあるところがよくある。そういうところは、ぷつんと切れてもいけないけれど、のばしたままにしないで歌い直す。これはBrussels5557という写本でブルゴーニュ宮廷のコワイヤブック。フライのミサ曲も入っている。歌詞の付け方がきちんとしているので、尊重したい。
・テンポリレーションの目安:第1Kyrieはbrevisがメトロノームで26、semibrevisが78。Christeはlongaが26、brevisが52。

(N.I.)
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by fonsfloris-k | 2015-04-12 13:30 | 講座レポート
4月11日 総合講座 グレゴリオ聖歌とルネサンス音楽を歌う(関西)
13:30-17:30 於母の家ベテル
受講:17名(S8、A5、T2、B2)

内容
<1>古楽院の目的
・最も古い時代の音楽から、その後の音楽をとらえられるように。
・声のアンサンブル、声に声を重ねる意識、に重点。このことは意外となされていない。
・コワイヤブックを使う意義。視覚的に他のパートをすぐにとらえられないことで、聞く耳が養われる。
<2>イザーク
・フランドル出身。フィレンツェに長く住み、その後、神聖ローマ帝国宮廷音楽家となる。
・『コラーリス・コンスタンティヌス』とは、Choralisとは聖歌集という意味、Constantinusはコンスタンツ(町の名前)のという意味で、コンスタンツ大聖堂から依頼された聖歌集のこと。
・ミサ固有唱proprium missaeを作曲したもの。それぞれの祝日のセットがあり、その一部が残されている。弟子のルートヴィヒ・ゼンフルが完成させ、イザークの没後50年ころにようやく出版された。
・歴史上、固有唱を作曲したものは少なく、おもに3つが知られている。1つはオルガヌムのMagnus liber organi。1つはイザーク。もう1つはウィリアム・バード。バードはカトリック禁止時代のイギリスで一人で固有唱全曲を作曲した。
・イザークの『コラーリス・コンスタンティヌス』には、厳密には固有唱とセクエンツィアが含まれる。
・今年の講座では、Annuntiatio「お告げの祝日」(3月25日。いわゆる「受胎告知」の祝日)の固有唱からIntroitus、Sequentia、Communioが作曲されたものを歌います。
<3>Introitus: Rorate caeli desuperをグレゴリオ聖歌(楽譜は3種類)で歌う。
1. Graduale Novum(2010)
2. 10世紀のネウマ
3. Graduale Pataviense(1511):Patavienseとはドイツのフルダの、という意味。イザークが活動していたころの南ドイツの聖歌集。
・第一旋法をソルミゼーションで歌ってみる。
<4>ソルミゼーションの説明
・hexachordum naturale:Cで始まるut re mi fa sol la
・hexachordum molle:Fで始まるut re mi fa sol la
・hexachordum durum:Gで始まるut re mi fa sol la
・b rotundum → ♭
・b quadratum → ♮
<5>Isaac, Rorate caeli desuper
・2枚目までを譜読みして、最後はコワイヤブックで通しました。

(N.I.)
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by fonsfloris-k | 2015-04-11 13:30 | 講座レポート
音楽史講義「フランス・バロック・オペラの変遷」のご案内
音楽史講義「フランス・バロック・オペラの変遷」を担当される関根敏子先生からのメッセージを掲載します。
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みなさま、こんにちは。また古楽院での講座が始まる季節となりました。

ルイ14世の没後300年にあたる今年は、太陽王のために創始されたフランス・バロック・オペラを中心に、そのルーツであるバレ・ド・クールから、革命前のオペラ・コミックまでの歴史をたどっていきます。
第1回は、「サン・ジェルマンの森の妖精たち」。
これは、1625年にルーブル宮殿で上演され、ルイ13世と宮廷貴族たちが踊ったバレ・ド・クールです。
講座では、1581年にアンリ3世の王妃カトリーヌ・ド・メディシスによって催された最初のバレ・ド・クール「シルセ、あるいは王妃のバレ・コミック」の舞台や衣装デザインなども紹介します。
どうぞお楽しみに。
(関根敏子)
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問い合わせ先:窪田 m-kubota@fonsfloris.com
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072.gif東京講座
http://www.fonsfloris.com/k/2015tokyo.html
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by fonsfloris-k | 2015-04-06 23:43 | その他
フォンス・フローリス古楽院(東京講座) 受講生募集 ★最新情報★
4月を迎え、いよいよ各講座がスタートしますが、まだ受講申し込みは間に合います。

初心者のための半期5回の講座、「グレゴリオ聖歌入門」「ルネサンス音楽入門」(4月18日 開始)
12~13世紀の多声音楽を歌いながら学ぶ「パリ・ノートルダム楽派の音楽」(4月26日 開始)
の受講生を特に募集中です!

グレゴリオ聖歌とイザーク作曲のポリフォニーのモテットを歌う「ミサ固有唱」(5月16日 開始)
のアルトと男声も募集中です。

「15世紀のミサ曲」「聖母のモテット」の講座の女声は定員に達しましたが、
男声のご応募をお待ちしています。

その他、グレゴリオ聖歌の2講座、音楽史講義の2講座にも充分ゆとりがあります。

★グレゴリオ聖歌1「古ネウマ研究」では、テキストとして Graduale Triplex(7,000円程度)を使用します。古楽院でまとめて購入も可能です。購入を希望されるかどうか、お申込時にお知らせ下さい。

問い合わせ先:窪田 m-kubota@fonsfloris.com

http://www.fonsfloris.com/k/pdf/KogakuinTokyo2015.pdf

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by fonsfloris-k | 2015-04-05 16:48 | 講座レポート