3月19日 春期集中講座「初めてのグレゴリオ聖歌」第1日目(東京)
3月19日 (10:00-13:00)フォンスフローリス古楽院 春期集中講座「初めてのグレゴリオ聖歌」

【総括】
・「初めてのグレゴリオ聖歌」2日間のうちの第1日目をえびらホールにて開催しました。
・グレゴリオ聖歌やネウマ譜の変遷、修道院の生活について、花井先生がベネディクト会派の修道院を訪ねた際のお話を交えながら解説してくださいました。

【前半】
☆グレゴリオ聖歌の成り立ち
☆ネウマ譜の変遷
☆修道院の生活
☆言葉
☆8つある教会旋法

☆グレゴリオ聖歌の成り立ち
・グレゴリオ聖歌は、一千年前に編纂されて以来ずっと歌い継がれてきたが、歌い方が一様であるとは思えない。そのため、これが正解と言えるものはない。
・そもそも、グレゴリオ聖歌というのは、
10世紀ごろにグレゴリウス一世が西ヨーロッパの聖歌の歌い方を統一しようとしてできたもので、それまでに歌い継がれてきた聖歌をまとめ、歌い方を示したたものである。
・もとの聖歌については、誰がいつ作ったものかわかっていないし、聖歌そのものが生まれた時にはまだ楽譜が存在していないはずである。即興的に歌い継がれてきた歌い回しが徐々に固定化されたと思えるものたくさんある。

☆ネウマの変遷
・そもそもネウマ譜というのは、みんながすでに知っているの聖歌の歌い方のニュアンスを示したものであり、旋律の音高をあらわすものではは無かった。
・1100年頃には、そうしたらフレーズのニュアンス以外に音の高さを示す線が入り、1600年頃にはニュアンスが省かれ音の高さと長さしか示さなくなる。
・19世紀にはソレム修道院が、失われたものを調べようとするロマン派の機運に乗り、全欧のネウマ譜を調べる。20世紀には、ラン(Laon)とサンクトガレンの10世紀のネウマ譜から歌い方のニュアンスを併記したネウマ譜が復活された。2つの修道院は1000キロ離れているが、9割がた一致している。

☆修道院の生活
・修道院における日々の祈りとは、典礼の言葉をみんなで歌うこと。
・グレゴリオ聖歌とは修道士からすれば、
(ローカルの聖人の祝日など細かい違いはあれど)全世界共通の、日々の典礼におけるお祈りであり、一年ぶんいつ何をやるか全部書いてあるものである。
・修道院での生活は、全てがみっちりスケジュールが組まれており、休みはないが忙しくて目が回るということもない。祈りに集中して向かえるようにスケジュールが組まれている。
・1日8回の鐘が鳴り、その鐘ごとに聖務日課があり、その聖務日課において、グレゴリオ聖歌が歌われる。

☆言葉
・聖週間は食生活も質素でひもじい思いをするが、それにつぐ復活祭の時は鐘がガンガン鳴り響き、華やぎ、嬉しいものである。
したがって、"復活"という言葉にはドミナントが当てられることが多い。このように強調する言葉としない言葉のメリハリをつけることも大事である。
・祈りの言葉、グレゴリオ聖歌を歌い継いできた先輩方、ソレムの歌い方などから、いろんなものを総合して良いと思えるものを提供しようと考えている。


☆8つある教会旋法
・グレゴリオ聖歌で使うのは、ピアノの白鍵の音7つと黒鍵のシ♭の音のみ。
・終音(finalis)とドミナント(dominant)
の音程関係からグレゴリオ聖歌の曲をいずれかの教会旋法に分類することができる。
・聖歌が元にあり、理論は後付けなので完璧に一致はしなくても消去法で分類が可能。
・終音はレ、ミ、ファ、ソのいずれか。
・正格旋法(第1,3,5,7旋法)は終音の5度上に、
変格旋法の第2と第6旋法は終音の3度上、
第4と第8旋法は終音の4度上にドミナントがくる。→2468は3434と覚えよう。
・時代の趣味によって調性的な旋律になるように直されたことも。

〜休憩〜

【後半】
☆ネウマ譜の読み方について
・グレゴリオ聖歌は1つの音節に対し音がいくつ組み合わさっているか、またその音の相互関系がどのようになっているかを示している。
・付加文字のtやクリヴィスやトルクルスの上についている棒はテヌートの意味。
・ヴィルガという記号がついている箇所は前の音より高く。四角い音符の上に点のついた箇所は、次の音節の音を少し入れる。
・図形は音を膨らませるところは膨らんでいたり、元気良く歌うところは勢いのある線であったり、直感的にわかるような図になっている。
・よどみなく切れ目なく、フレーズのつながりを意識しながら歌うのが目標。


【ひとこと】
第一日目にしては、かなり内容の濃い講義だったと思います。皆様お疲れ様でした。(H.I.)
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# by fonsfloris-k | 2017-03-19 10:00 | 講座レポート
4月3日アンサンブルクラス ジョスカンの聖母モテット(関西)
13:30-17:30 於母の家ベテル
「アンサンブルクラス ジョスカンの聖母モテット」
受講:12名(S4、A4、T3, B1)

内容
<1>マリア・アンティフォナ
・マリア・アンティフォナは4曲。Regina caeli、Alma Redemptoris Mater、Ave Regina caelorum、Ave maris stella。
・それぞれに歌う季節を決めたのはトレント公会議後ここ数百年のことで、ジョスカンのころはいつでもよかった。Regina caeliは復活。
・Alma Redemptoris MaterとAve Regina caelorumを同時に歌うことは現在はないが、ジョスカンの頃は特に取り決めはなく、いつでもよかった。
<2>Alma Redemptoris Materをグレゴリオ聖歌で
<3>Ave Regina caelorumをグレゴリオ聖歌で
・ジョスカンと歌詞が違うところを直す。Salve radix, salve porta, → Salve radix sancta,
・Vale, o valde decora, → Vale, valde decora, ミの音も一つ取る。
・♭なしで。
<4>Josquin, “Alma Redemptoris Mater/Ave Regina caelorum”
・ミラノのドゥオーモの写本。
・作曲のスタイルからしてジョスカンの初期の作品と思われる。前半完全、後半不完全というのも古いスタイル。
<5>Josquin, “Ave maris stella”
・試しに全音下げで。
・もとはパートブックだったものを切り貼りしてコワイヤブックに作り直したもの。
<6>Josquin, “Ut Phoebi radiis soror”
・試しに全音上げで。

次回は2時間なので、"Ut Phoebi radiis soror"を練習します。

(N.I.)
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# by fonsfloris-k | 2016-04-03 13:30 | 講座レポート
4月2日 「総合講座 ジョスカンのモテット入門」(関西)
4月2日(土)13:30-17:30 於母の家ベテル
受講:26名(S13、A8、T3, B2)

内容
<1>Josquin, “Qui velatus facie fuisti”
・ミラノのドゥオーモ所蔵の写本。
・motetti missalesというジャンル。ミラノのスフォルツァ家の宮廷で歌われたと思われる形式。ミサの中で、あるいは、ミサの代わりに歌われるモテットのこと。フランスバロックのグランモテのようなもの。
・6曲で1つの連作モテット。6楽章のミサ代用モテット。
・イタリア伝統のポリフォニーのラウダのスタイルに似ている。
・イタリア風だけれど、フランドルの人たちが作った。
・短三度上げ。
・第1曲と第6曲を譜読み。
・この写本は2声ずつのパートブック。最終的にはコワイヤブックにして歌います。
<2>Josquin, “O bone et dulcissime Jesu”
・フランドル風のモテットだが、ところどころにmotetti missalesの影響がみられる。
・通模倣様式が随所にみられる。これは15世紀には少なく16世紀には普通になっていくスタイル。推し進めた一人がジョスカン。
・このままのピッチで。
・1ページ目を譜読み。
・この写本はコワイヤブック。

(N.I.)
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# by fonsfloris-k | 2016-04-02 13:30 | 講座レポート
4月1日「総合講座 ジョスカンのモテット入門」準備講座(関西)
19:00-21:00 於母の家ベテル
受講:10名(S7、A2、T0, B1)

内容
<1>記譜法の歴史
・最初の記譜はグレゴリオ聖歌のネウマ。現代で言う、決まった「リズム」を表すものではなかった。
・11世紀から12世紀にかけてポリフォニーが生まれる。最初はグレゴリオ聖歌に即興で対旋律をつけていくものだったが、だんだん作品として仕上げ、記録するようになり、楽譜に記すようになった。
・ポリフォニーである以上、ある一定の音価、特定の長さを持つ、周期的なリズムが必要になった。→「計量された」記譜法、つまり計量記譜法へ。
・最初は黒色計量記譜法、15世紀頃に白色になる。
<2>白色計量記譜法の説明
・ジョスカンの”Qui velatus facie fuisti”と”O bone et dulcissime Jesu”を使って少し譜読み。

(N.I.)
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# by fonsfloris-k | 2016-04-01 19:00 | 講座レポート
2月6日 ミサ固有唱(東京)
Heinrich Isaac 第10回

講座もいよいよ最終回となりました。
発表会に向けて、そして今年度の講座の総仕上げとして聖歌とイザークのポリフォニーを歌っていきました。

まず、本番同様に出入りの流れも確認しつつ、止まらずに演奏してみました。
途中で音や拍子が分からず止まってしまうというような問題はなく、それなりに通すことは出来るのですが、「少しずつ、パート毎あるいは個人での発音・発声や意識の違いにより、本当の意味で一つの響きや流れになりきれていない。」という花井先生からのご指摘でした。

例えば、入祭唱のポリフォニーの最初の入り、どのパートも”レ”の音から歌いだしますが、そのすべての音(先唱の最後の音も含めて)が、そのピッチの”レ” を歌っているかに限らず、同じ音色・響きで始められるように。(もちろん”Ce”の発音も含めて!)
それが出来ると、急に一体感が生まれ、音楽が次々と湧き出してくるような、常に響きに包まれているような安心感・ワクワク感がでてきました。
よい意味での緊張感と集中力をもって、第1声でその響きを立ち昇らせることが出来るように、そしてその流れを継続して行けるように、良く聴き、歌いましょう。

ペヌルティマを確認し、しっかり注意して歌いましょう。
ペヌルティマはフレーズ(カデンツ)の最後の一つ前の音でした。普通はそのペヌルティマで緊張感が高まり盛り上がって、最後のハーモニーへと収束し、その響きの中からまた次のフレーズが湧いてくるわけですが、イザークでは全体の流れとしてのペヌルティマで自分のパートが終わってしまい、他のパートへ最後の音を託すという形が頻繁に見られます。そして、そのように終わりそうで終わらない感じ、意外な音へと向かっていく感じがイザークの面白さの一つと言って良いかも知れません。
ですから、自分のパート中での最後の音が、全体の中でどのような意味を持っているのか、もう一度チェックして、自分たちだけで終わってしまわないように。あるいは他のパートから託された流れをしっかりと感じながら最終音に向かえるように、各パートの役割をしっかり果たしていきましょう。

また、上記のように、全員で明確に”終わる”という箇所が少ないので、気をつけないと、だらだらと音楽が流れていってしまいがちです。お互いの動きを良く感じながらカデンツをしっかり感じると共に、次のフレーズの始まりもみんなで共有して大事にしましょう。(どのパートから始めるのか聞き逃さないこと。また自分たちが初めの場合は、前のフレーズと気持ちの上でしっかり別けて、新たな気持ちで大切に歌い始めていくこと!)

詠唱の方は、1節から6節まで、様々な組み合わせのDuoやTrioそしてTuttiが出てきます。クワイヤブックでは、ページによって自分が歌う楽譜の場所が違ったりすることもあります。また、節の最後の音から次の節の出だしの音がイメージしにくい箇所も各自あると思いますので、繋げて歌う練習もしっかりして、迷子にならないようにしましょう。

全体を通して、前回もテーマになったクィリスマ(ペス)のイメージを忘れないように、全ての音がべたっとならないように、大事な音、柱になる音に向かって流れていくこと、そしてお互いのパートを響きや流れの中に”入れてあげる”ことを忘れないように、みんなで一つの音楽を作り上げていきましょう。


期せずして、人数的には非常にコンパクトなアンサンブルになりましたが、お互いの顔が見える・お互いの声が聞きあえることを生かして、しなやかで繊細な音楽を、発表会で演奏できるといいですね。
個人的に、またパートとしては、発声などの面でまだまだ難しい点はたくさんあると思いますが、このグループで一年間学び、深めてきたことが、表現として少しでも多く結実するように、準備をしっかり、また体調を整えて発表会に臨んで下さい。頑張りましょう!

(N.Y.)
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# by fonsfloris-k | 2016-02-06 13:00 | 講座レポート