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2010年度ルネサンス音楽史講座テキストのエピローグ全訳
2010年度東京講座「ルネサンス音楽史を学ぶ」で使用したテキスト

Allan W. ATLAS著『Renaissance Music - Music in Western Europe, 1400-1600』
最終章「エピローグ」701~707ページ

の全訳を作成しました。以下でご覧いただけます。
http://www.fonsfloris.com/k/epilogue.pdf

著者のアトラス氏は、アメリカの音楽学者です。15世紀から16世紀のルネサンス期の音楽を詳細に解説したこの本は、音楽だけでなく、音楽以外の芸術や文化、歴史、社会風俗についても、楽しみならが学べる格好のテキストでした。東京講座では、哲郎先生に解説していただきながら、3年かけて、ほぼ全編を講読しました。

最終章「エピローグ」の翻訳は、全体の概要を復習していただくために作成しました。アトラス氏の深い知識と独特のユーモアがちりばめられています。特に、作曲家ビュノワが死後100年経って生き返り、ヨーロッパ各地を旅するというくだりは秀逸です。ぜひお読みください。

訳文についてご意見がありましたら、コメント欄にお書きください(非公開コメントをご要望の場合はその旨もお書きください)。
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by fonsfloris-k | 2011-03-20 18:42 | 講座レポート
1月15日 ルネッサンスの音楽史を学ぶ(東京)
第 39 章 655~660 ページ
1588 年から 1590 年

・アルマダの海戦

ふたつの国の何世紀も続く関係を決定づけた出来事を、ひとつだけ選び出そうとしても無理がある。しかし、イギリスとスペインの関係においては、1588 年のアルマダの海戦が、その後の両国の歴史を完全に塗り替える出来事になった。

当時、エリザベス女王が治世するイギリスは、ネーデルランドでの利権や奴隷交易、カリブ海での覇権をめぐって、スペインと関係を悪化させていた。スコットランド女王メアリー・スチュアートの処刑後、ヨーロッパ中のカトリックから敵視されるようになり、ついにスペイン王フェリペ 2 世は無敵艦隊をイングランドに派遣した。

諸海戦ののち、軍事力では圧倒的に優位だったスペイン艦隊が敗走し、奇跡的な勝利を収めたイギリスは、大いに国威を高めた。(アルマダの海戦については Wikipedia が詳しい http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%80%E3%81%AE%E6%B5%B7%E6%88%A6)

・レオン・モデナとゲットー

ユダヤ人 Leon Modena が残した"The Life of Judah"(ユダヤ人の生涯)には、当時のベネツィアとユダヤ人コミュニティーの様子が記されている。Ghetto Nuovo という名前の島にあったそのコミュニティー内で、ユダヤ人らは自分たちの規律に従って「自由に」生活する一方で、Ghetto の外に出るときは、特定の色のバッジや帽子を身につけるよう義務づけられていた。Ghetto の語源は、「注ぐ」「鋳造する」という意味の gettare で、当時のベネツィアのゲットーに武器を製造する鋳造所がいくつかあったことに由来する。


第 40 章 661~673 ぺージ
エリザベス女王の時代のイギリス

総じて言えば、エリザベス女王時代のイギリスでは、大陸の音楽から離反しようとする動きと大陸の音楽に向かおうとする動きの両方が混在していた。

英国国教会の典礼向けの音楽は、独自性を保ち続け、一方、密かに行われていたカトリック典礼での音楽は、フランドル風の模倣様式と無理なく融和する音楽になっていった。

一部の音楽ジャンルには、両面性が見られた。たとえば、イギリスのマドリガルは、イタリアからの影響を大きく受けながらも、イギリス人はマドリガーレをそのまま輸入することはせず、イギリス的な感受性のフィルターをかけてから取り入れた。独奏用の鍵盤楽器曲を作曲するイギリスの作曲家は、大陸の同じような鍵盤楽器作曲家の作品から多くを学んだあと、それらをあっさりと超越して、はるかに優れた作品を多数作った。

上流階級のための音楽は、ただひとつの場所、つまり王室とエリザベス女王にすべてが集まるようになっており、一元集中化されていた。これは、大陸の状況とはまったく異なる、イギリスならではの現象だった。

・音楽の集中化

カトリックの復権を目指してプロテスタントを迫害し、Bloody Mary と呼ばれたメアリーの後を継いで王位についたエリザベス女王は、チューダー朝でもっとも能力が高く、一身に権力を集めた君主だった。知性的で音楽を好み、楽器を演奏した。

そのため、1599 年にロンドンを旅行したドイツ人の Platter が手紙に書いたように、「ロンドンこそイギリスそのもの」であり、当時の高度な音楽活動はすべてロンドンに集中し、国内のあらゆる優れた音楽家は王室礼拝堂に仕えた。

・王室礼拝堂(The Chapel Royal)

イギリス王室礼拝堂の楽員は、Gentlemen と呼ばれ、これに少年聖歌隊員が加わる。ドイツ、スペイン、フランスなどの宮廷音楽隊とは異なり、イギリスの王室礼拝堂の楽員は全員イギリス人で、外国人は皆無だった。Thomas Tallis や William Byrd などのように、カトリック教徒であっても、イギリス人であり、エリザベス女王に気に入られれば受容された。イギリス王室礼拝堂の楽員は、名誉と報酬が保証され、優遇された。

イギリス王室礼拝堂では、すべての音楽活動がエリザベス女王のために行われ、王室からの許可がなければ楽譜を出版することもできなかった。

・ラテン語の教会音楽

当時のイギリスのラテン語の宗教音楽は、過去のイギリス様式(模倣がない、華美、メリスマが多い、歌詞と旋律の関係があいまい、聖母モテットの偏重)から完全に離れ、大陸の主流であったフランドル様式に非常に近い様式を持つようになった。たとえば、タリスとバードが共同で出版した Cantiones sacrae に収められているモテットでは、音楽の構造を作るうえで、模倣とそれに類する技法が多用されている。

この流れを作ったのが誰であったのか、確たる答えは不明だが、Thomas Morley が書いた音楽指南書"Plaine and Easie Introduction"で「アルフォンソ先生」として登場する Alfonso Ferrabasco の影響が大きかった、とする説がある。

・William Byrd

リンカーンで生まれたバードは、ロンドンでの成功を願って国教会のために音楽を作曲し、才能を認められて王室礼拝堂の楽員になると、カトリックの貴族からの援助を受けながら、とんとん拍子に出世した。その後、宗教をめぐるいくつかの事件によって痛手を受けながらも、カトリックへの信仰を深め、カトリック典礼のための音楽を作った。有名な 3 声、4 声、5 声のミサは、ローマ式典礼に関連する出版物が禁じられていたために、表紙を付けずに出版された。

バードの 3 つのミサ曲には、大陸のミサ曲と明らかな相違点がある。パロディ・ミサ、パラフレーズ・ミサ、定旋律ミサのいずれにも属さず、何の制約もなく自由に作曲されている。また、Kyrie、Benedictus、Agnus Dei が短く、Gloria と Credo の区切り方が違う。

バードは、典礼暦年の固有文に従った一年間分の曲を精力を傾けて作曲し、それらを 2 巻からなる壮大な Gradualia にまとめた。Gradualia は、政治的・宗教的な混乱に何度か巻き込まれたものの、状勢が落ち着いた 1610 年に 2 巻同時に再発行された。史上類を見ない傑作とされている。

・国教会のための音楽

イギリスの王室礼拝堂で演奏された国教会のための音楽は、大陸におけるプロテスタントのための音楽とは大きく異なっていた。これは、エリザベス女王による 1559 年の「国王至上法」と「礼拝統一法」により、日々の典礼(service)のあり方が定められ、共同祈祷書によって、国教会独自の音楽が確立していったからである。イギリス国教会の典礼で演奏するための音楽として、Anthem と Service という 2 つのジャンルが新しく生まれ、多くの曲が作られた。

(CT)
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by fonsfloris-k | 2011-01-15 11:00 | 講座レポート
12月20日 総合講座「テネブレを歌う1」(東京)
出席 11人
プログラムに従って練習しました。

①第一夜課
lectio 2: Lamed(エレミアの哀歌)

②第二夜課
responsorium 2: Tenebrae

③第三夜課
antiphona: Longe fecisti psalmus(詩編87)
☆間の取り方に注意
一行の途中の間は長く
グループの受け渡しは素早く
☆人に頼らず、一人ひとりがしっかりと歌うこと
☆音が下から上に変化する時は、上の音を長めに歌う
☆音符を歌うのではなく、意味を歌う

responsorium 8: Jesum tradidit

宿題:次回までにほぼアンプ!?!?

(YH)
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by fonsfloris-k | 2010-12-20 14:00 | 講座レポート
11月27日 フランドル楽派の音楽を歌う(東京)
受講:S3、A2、T3、B2

Tomas Luis de Victoria, Miserere mei

発表会の最後に歌う曲であることを確認して、最初から全員で歌う。なかなか和音がそろわず多くの注意をいだだきながら、指導していただく。

注意点
・音程:和音の中での自分の位置を確認しながら歌う。直前の自分の音から次の音を取らない。必ず和音の中で音を取る。また、同じ音で唱える間に音程がぶれないようにする。
・フレーズの最後:漫然と音を伸ばさない。たとえば De-us と歌う場合は、us の最後をのみこむように拍のなかに収める。
・[u] の発音:特にそろわない。munda、secundum、Amplius など。[u] だけでなく、発音がバラバラだと音程が合わない。どのような発音にすべきか意識する。
・cantus:節の最後で bassus の音とぶつかるときに逃げない。
・単なる「お歌」にしてはいけない。ひとつひとつの言葉が持つもの、曲全体にそなわっているもの -- を理解しようと絶えず努める。そのためには言葉をよく読む。心に刻みこむように。
・付点:縦の線をそろえて、明瞭に。

Josquin de Prez, Miserere mei

secunda pars を歌詞をつけて全員で歌う。歌詞、音程ともに不安定なところが多かったため、パートごとに指導を受ける。全体で合わせてもゆっくりしたテンポで歌う。各人の自主練習が不十分で、音楽の表現を教えていただくまでには到らなかった。

注意点:
・講座にのぞむ前にかならず自主練習をする。
・次回以降、練習ができず譜読みが不十分な人はアンサンブルに参加できないので、聴講すること。

(CT)
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by fonsfloris-k | 2010-11-27 13:00 | 講座レポート
11月20日 総合講座「テネブレを歌う2」(東京)
*配布プリント:P17~20(事前にpdfをメールで配信)

<概要>
Ⅰ 朝課(テネブレ)についての説明
Ⅱ 朝課の順に従った担当部分の通し練習
 ポリフォニー(Victoriaのエレミアの哀歌)については、
  本番同様、大判コワイアーブックを全員で見ながら練習。
 賛歌のBenedictus(プリントP18) 及びMiserere(プリントP19)の練習
Ⅲ ポリフォニーの練習
 旋律の流れと言葉の抑揚の再確認

<練習内容>
Ⅰ 朝課(テネブレ)についての説明
①全般注意事項
「11月5日総合講座「テネブレを歌う1」(東京)」に同じ。

②プリントP20 の変更事項
 ・第1夜課 2. Ant: Diviserunt ps.21
 奇数節を「グレゴリオ演奏法講座」の女声が、偶数節を総合講座2の女声が歌う。
 「グレゴリオ演奏法講座」への指示を偶数から奇数へ変更
 ・讃課
 Miserereの奇数節は「総合講座2」の男性が朗読
 (注意:プリント記載は間違い)。

Ⅱ 朝課(テネブレ)の順にしたがった担当部分の通し練習
①本番の注意点
・グレゴリオ聖歌は会衆席で着席して歌う
・ポリフォニーは祭壇と会衆席との間に置かれる譜面台のところへ
  速やかに静かに移動し、大判コワイアーブックを全員で見ながら歌う。

*資料P2の一覧表と今回配布P20の詩編唱一覧表を参考に
上記の出入りを良く把握しておく。移動のタイミングは合図無し。

・コワイアーブックは2種類、全パートがあるものと
  左側のみ(CantusとTenor)のものが用意される。

*コワイアーブックに記載されている左上のタイトルと番号を確認
(アルトとバスは全パート記載の譜面の方に立つ)
*立ち位置については事前に決めておく。
*第1、第2、第3夜課、それぞれの間に休憩が入る。
第3夜課と賛課は休憩無しで続けて執り行う。
*第2夜課の最初のAnt.:Vimfaciebant psm 37の始まりは、
休憩後、落ち着いたところで、花井先生が音叉をたたくのが合図。

②第1夜課 2. Ant.:Diviserunt ps.21
・短3度低めで歌う。
・16節 Flexaに注意。”virtus mea,” の後はまだ途中なので
  軽くブレスをするだけで”et lingua mea”へ。
・28節“saturabuntur”は”-bun-“のアクセントを感じて
  少し長めに歌ってから軽く下がる。

③第2夜課 3. Ant.:Alieni ps53
・楽譜より4度下(レ)から歌い始める。
・第3夜課 1. Ant,: Ab insurgenntibus
  6節“miserearis“の -rea- 母音が続いているところは
  各母音に1音節ずつあてはめること。

④賛課
・5つの詩編は省略しAnt. ad Benedictusを歌う。
・Benedictusは毎朝行われる重要な祈り。今回は夜課につなげて歌う。
・プリントP18の言葉を確認後、歌唱練習
・総合講座2は奇数節を歌い、
  偶数節はポリフォニーでルネサンス音楽を歌うグループが担当。
・Benedictusは他の詩編と異なり、すべて冒頭部分の旋律を歌い、
  音形も複雑で、荘厳な感じになっている。

*賛課 Benedictus ~Miserere の流れ*
  本番では、Benedictusが2節ずつ歌われるごとにロウソクが
  1本ずつ消されていく。
会場内は暗くなるので、この部分は暗譜しておく必要がある。
  小さな1本のロウソク(キリストの命を象徴)が祭壇の下に隠され、
  暗闇になったところで、Christus factus が「グレゴリオ聖歌演奏法」
  のグループによって唱えられる。
  その後のMiserereの偶数節は、男性が一本調子の低い声で朗唱する
  (これも要暗誦)。
  Miserereが終わると大地震(キリスト没後の起こったとされる)を
  象徴する音が出された後、祭壇の下のロウソクを再び出し、
  その明かりで会衆が静かに退出する。

Ⅲポリフォニー(Victoriaのエレミアの哀歌)の練習
①reponsorium 9: Caligaverunt
 ・旋律の流れと言葉の抑揚を感じて歌うこと。
 ・言葉の抑揚、アクセントの確認
 ・“ a fletu”は-fle-に、”labatur”は-ba-にアクセント
・“o culi mei”で一度おさめる。“a fletu”は、痛みを感じて歌う。
・“videte”-d- が強すぎないよう滑らかに。
“videte”と“Omnes”はつなげる。
・“si est dolor si” は“dolor“へ向かって歌う。
・“dolor meus” 最後の一つ前の音は緊張をはらんだ重要な音(テヌルティマ)。
・“atendite”-ten- に向かって歌う。一本調子にならないこと。
・“si est dolor”の1回目は寂しげに、繰り返しの2回目は音量を押さえて、
3回目は押さえてritする。

②reponsorium6: Animam meam
・“Animam meam”は“meam”を強調
・“ad vesarius meus”は“meus”に向かって歌う。
・“et proper ate,”“et propterate”はつなげる。
・“Quia non est” “non”をたてる。
 ・“Insur rexerunt” は切羽詰った感じ。その前の寂しい感じとの
違いを意識すること。

③Lectio3 Ego vir
・グレゴリオ聖歌P5の歌詞、言葉の抑揚を確認
 ・“Aleph” 末広がりのイメージで。

(AK)
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by fonsfloris-k | 2010-11-20 13:30 | 講座レポート
11月20日 ルネサンスの音楽史を学ぶ(東京)
第38章
634~646ページ

イタリアのマドリガル(マドリガーレ)

・要約

16世紀後半において「言葉」を最も重視した音楽ジャンルはマドリガルである。この傾向は、Willaret、Rore、Monteverdi兄弟に続く系譜の中で発展し、ついにMonteverdi兄弟は、独自に打ち立てた「第二作法」という理念の中で、「音楽は言葉に仕える(支配される)」という考えを宣言するに至る。

・Roreと「第二作法」のはじまり

フランドル出身でWillaretの影響を受けたRoreは、Monteverdi弟が絶賛したマドリガルをいくつか作曲した。そのうちの1曲Da le belle contrade d'orienteは、個々の歌詞の意味を音楽で絵画的に描写するだけでなく、登場する人物のセリフを音楽で色分けして、恋人たちのドラマを浮き立たせた。このときRoreは、歌詞のイメージを表現するために、伝統的なイタリア・ソネット形式の約束事を無視することまでしている。それでもRoreの曲では、言葉と音楽が釣り合う関係にあった。

・MarenzioとWert

Rore以後のマドリガルの作曲家たちは、大いに悩んだ。本来は均一的な性質しか持たない音符や休符を使って、歌詞の織りなす多彩な世界をどのように表現したらよいか? さらに、そのようにして言葉の持つイメージに重きを置きながらも、音楽的にも成立する作品にするにはどうしたらよいか?彼らの悩みを解決する方法は、簡単に見つからなかった。

BanchieriがRoreの後継者として賞賛したMarenzioは、イタリア出身でエステ家に仕え、400曲以上のマドリガルを作曲した。Marenzioの芸術的なワードペインティング(言葉の意味を音楽に反映して表現する)のテクニックは、当時の聴衆に支持された。

Alfonso II d'Esteが支配するフェッラーラ宮廷には、前衛的なマドリガルの詩人たちが集まり、その中にTassoとGuariniがいた。TassoはGerusalemme liberata、GuariniはIl pastor fidoという後世に残る傑作を残した。

フランドル出身でゴンザーガ宮廷の教会長だったWertは、TassoとGuariniの詩から多くのインスピレーションを得て、まったく新しい劇的なマドリガーレを作曲した。その中のひとつであるGuinto a la tombaは、「言葉が音楽を支配する」という状態をさらに進めて「言葉を偏重するあまりに音楽の内面的な統一を崩壊させている」という批判を受けた。

・批判と受容

当時、マドリガルは絶大な人気を博した。世俗指向の教会、文学サロン、教育機関でもてはやされるだけでなく、大量の出版作品を通じて、中流クラスの一般市民にも広まった。マドリガルを歌いこなすには相当な声楽的能力が必要だったため、新しいタイプの職業歌手が登場しはじめたのもこの頃だった。

人気が過熱すると同時に、行き過ぎた言葉の偏重と音楽の軽視に対する批判が、理論家Galileiらからわき起こった。17世紀を迎えるころになると、ポリフォニー形式のマドリガルの人気は衰え、代わりに器楽伴奏付きのモノディが流行する。

・問題を超越したMonteverdi

Rore、Marenzio、Wertらは、16世紀のポリフォニーの枠組みの中でマドリガルをとらえたが、Monteverdiはそうした既存の枠組みを軽々と超越した。クレモナ生まれでマントヴァ公の宮廷楽長を経てヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長となったClaudio Monteverdiは、5冊のマドリガル集、L'OrfeoとL'Ariannaのオペラ、Vespro della Beata Vergineなどのすぐれた作品を数多く残した。

マドリガル第4巻と第5巻を発表するころから、Monteverdiの音楽は、当時確立されていた音楽言語では表現しきれない領域に達するようになり、理論家Artusiとの論争を引き起こした。Artusiは、対位法を中心とする「第一作法」の正統性を訴え、Monteverdiは「第二作法」の新しい理念を提唱した。

Monteverdiの登場により、真の意味で16世紀が終わり、17世紀が始まって、新しい音楽言語が誕生した。音楽が言葉に仕えることに変わりはないが、もし音楽が規則を壊すのであれば、規則を書き換えればよいし、音楽が従来の形式に反するのであれば、従来からの形式の方を変更すればよい。音楽がそれらを越えていくことが実証されたときだった。

(CT)
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by fonsfloris-k | 2010-11-20 11:00 | 講座レポート
11月17日 グレゴリオ聖歌演奏法(東京)
配布プリント:2枚(17~20 ページ)

●朝課
テネブレ(聖金曜日の朝課)の流れにそって歌ってみる。
詩編の担当を決める。

<第1夜課>
1番目の antiphona: Astiterunt に続けて psalmus(詩編)を歌う。
詩編の奇数節=男声+1、偶数節=女声。

2番目の antiphona: Diviserunt に続けて psalmus(詩編)を歌う。
詩編の奇数節=グレゴリオ演奏法講座の女声、偶数節=総合講座2の女声。
(講座では偶数節を担当することになっていましたが、後で変更になりました)

3番目の antiphona: Insurreserut に続けて psalmus(詩編)を歌う。
詩編の奇数節=男声+1、偶数節=女声。

詩編の歌い方の指導を受ける。
・音が上下するところは、正しい音程できちんと上がって、きちんと下がる。
・下がるときに、押さえつけるように歌わない。
・一生懸命に唱える。だからといって、すべてのシラブルにアクセントをつけて、ごつごつと歌わない。音と音、言葉と言葉のつながりを意識する。
・同音で唱えている間に、音程が下がりやすい。
・節の区切り(コロンまたはカンマのあるところ)で、ブレスをしない。
・十字架マーク(フレクサ)で音が下降するが、区切りではない。休まないで先に歌い進む。

続いて、lectio(朗読)と responsorium(応唱)が3つ続くことを確認する。
グレゴリオ演奏法講座が担当する responsorium 3曲を歌う。

1番目の responsorium: Omnes amici =全員で歌う。versus は男声。
2番目の responsorium: Velum templi =全員で歌う。versus は女声。
3番目の responsorium: Vinea mea =全員で歌う。versus は男声。

歌い終わって・・・「この間の方がよかったね」という評をいただき、「もう一度」と気合いを入れ直して歌う。

<第2夜課>
2番目の antiphona: Confundentur と psalmus(詩編)を担当する。初めて楽譜をいただいて歌う。詩編の奇数節=男声+1、偶数節=女声。lectio は男声ソロ。

<第3夜課>
2番目の antiphona: Longe fecisti と psalmus(詩編)を担当する。初めて楽譜をいただいて歌う。詩編の奇数節=女声・左グループ+総合講座1の女声、偶数節=女声・右グループ+総合講座1の女声。lectio は男声ソロ。

●賛課
朝課に続けて賛課を行う。賛課の前半の antiphona と詩編は省略。

Antiphona ad Benedictus: Posuerunt を全員で歌う。
続けて歌う詩編は、奇数節をグレゴリオ聖歌で歌い、偶数節をポリフォニーで歌うという構成。
グレゴリオ演奏法講座は、「奇数節」のグレゴリオ聖歌を担当する。
詩編の奇数節を歌ってみる。音の動きが難しい。008.gif

今日の講座ではここまで。
Christus factus est、Miserere mei は次回。

(CT)
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by fonsfloris-k | 2010-11-17 19:00 | 講座レポート
11月15日 総合講座「テネブレを歌う1」(東京)
1.発表会の流れの確認

会場は聖心女子大聖堂、本番は4時から。
休憩室はなし、服装は暗めの色、色味のない黒や灰色など。
祈りの場で典礼をおこなうので、始まる前、終わった後、休憩時間も私語は慎む。
その点は聴きに来てくださる方にも徹底すること。

祭壇の上に大きな譜面台を2つ置き、向かい合って歌う。
一方の楽譜は楽譜の左右両方あるが、もう一方は楽譜の左側のみなので、特に楽譜の右側を歌う人は立つ位置に気をつける。

総合1は第1夜課の朗読、第2、第3夜課のレスポンソリウム、それぞれの2番目。
それぞれの2番目の曲は高い声部(バスがない)で構成されている。
楽譜のSecunda、Quintum、Octavumの文字を確認。
詩篇は第三夜課の2番目の詩篇87 Longe fecisti(P10~11)のみを唱える。
詩篇は祭壇には上がらず、座席で唱える。
通路を挟んで奇数節、偶数節を唱える人で左右に分かれて座る。

2.流れに沿って大きな楽譜で練習 

“エレミアの哀歌”
歌い終わったら次の人たちのために頁をめくっておくこと。

第1夜課と第2夜課の間に休憩5分~10分。

“Tenebre”
全音下げることの確認。
楽譜と違う音で歌うことをキアヴェッテという。
出だしの音は先生が示してくださる。

第2夜課と第3夜課の間にも休憩5分~10分。

“詩篇87”
アンティフォナと詩篇第一節のそれぞれ*印まではカントールが唄う。
短3度下げて、実際の音はeで始める。
詩篇を最後まで唱えたらアンティフォナに戻る。
詩篇は先生は一緒に唱えてはくださらない。
節が変わる際はすぐに続けて唱え、節の後半は沈黙の間を置いてから息継ぎをして皆でタイミングを合わせ唱える。

“Jesum tradidit”
全音下げる。

第三夜課の後は休憩は無く、賛歌に続く。
ただし五つのアンティフォナは省略し、Benedictusから。
2節目が終わったら、4節目が終わったらと、6段階にろうそくの灯りと聖堂の電気を消していき、最後は暗闇に。
Miserereが終わったら、祭壇の後ろで大音響(ブリキ板で)。
大音響の前に祭壇の下に隠しておいた1本の小さなろうそくを出して、皆無言で退場する。

このような典礼が聖金曜日の前日あるいは前夜に、16~18世紀ごろまで、1000年以上にわたって、行われていた。
バロック時代、フランスの教会では「ルソン ド テネブレ」が独唱された。

3.ポリフォニー3曲、大きな楽譜で歌詞確認と更なる練習

“エレミアの哀歌”
38の裏、39の1段目
Cantusは付点ありのセミブレビスと付点なしセミブレビスの違いを明確に。
最後Aitusが残るので他のパートは遅くなりすぎないようにして最後の音を合わせる。

38の裏、39の2段目、3段目
dixeruntはディクセ(ドイツ式)ではなくディグゼ(イタリア式)と滑らかに発音する。
ubi の「ウ」の響きがちゃんと聴こえるようにすること。
最後のtatis の響きを何度も確認。

オルガンの音で純正の響きを確認。
ミとファの間が広く、ドに対してファが高い。ラを聴いて、ファの人は高めにとる。
もしファが先にきたら、ラの人が低めに。ミの人はドを聴いて低めにとる。
純正な響きを正しく作る事が最重要。

Mem の段
フランス語の meme は同じという意味だが、偶然か意図的かどのパートもファの音で始まっている。そのファの音は高めにとること。
Tenor の人は地声を使って低い音を響かせる。

39の裏、40の1段目~3段目
たとえ途中の音がずれても、最後の音は合わせましょう。
4段目~5段目 ひたすら響きを確認しながら練習。

“Tenebre”
1段目~3段目
Cantusは dereliquisti の qui の部分(ソファミレ)のミは♭にならないこと、supiritum の um のシの音は低めにとること。
Cantus Secundus は Tenebre とfacte の間は切らずにつなげ、
sunt と dum の間で息つぎする。
最後の音の響きを確認。

4段目
Cantusは最後のシのナチュラルの音を低めにとること。
最後の音の響きを確認。

5段目、6段目
Ait のit の部分、CantusとCantus Secundusの人は同じソの音をお互い聴き合うこと。
Cantus SecundusはPater の部分のシ♭とラは広い半音になるようにして純正3度の響きを作ること。

“Jesum tradidit”
Cantus の人は sacerdotum のdo のミ♭は高めにとること。
同じ音にする意識を持って歌いましょう。

次回までに、各自必ず声を出して練習してくること。
正確な音が出せるように、言葉を間違えないように、アクセントの位置も覚え、きれいな響きで自由に表現できるように歌い込んでくること。
1オクターブ高い音を正確に出せるように練習してくること。

(HA)
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by fonsfloris-k | 2010-11-15 14:00 | 講座レポート
11月6日 フランドル楽派の音楽を歌う(東京)
1.「キアベッテ」chiavette transortata について
・本講座の曲(Victoriaの“Miserere”)は、ハ音記号やヘ音記号の位置がルネッサンス期として標準的な位置にあり、加線を必要としないものとなっているが、Sop.(Cantus)にト音記号が用いられるような高い音域の曲の場合、音を下げて歌うことがある。そのことを「キアベッテ」という。(本来のキアベッテの意味は「高い音符記号の集まり」であるが、音が高い→音を下げて歌うこと、と言葉の使い方が転じた。)
・本講座の曲はキアベッテには該当しない。逆に参加者の声域としては低すぎるので何度か上げることにする。

2.Victoria “Miserere”
・この日は3度上げて練習した。
・冒頭のmi-seのテンポのままで行かず、deusに向かって加速する感じ。
・9節のgaudiumは"ga"にアクセントを付け強調する。

3.Josquin “Miserere”
・第2部(4~6ページ)を集中練習。
・12節のprincipaliは「幅の広い、心が大きい」という意味で、Sop./Bassの当該音符「ソ-レ」(pa-li)の飛躍はその大きさを表現している。それを念頭に歌うように。
・第2部最後のmiserere mei deus、音程が下がりやすいので気を付ける。
・第2部は本日初めてだったが、次回に向けて練習してくるように。

(MT)
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by fonsfloris-k | 2010-11-06 15:00 | 講座レポート
11月6日 ルネサンス音楽を歌う(東京)
【大型楽譜と全体の進行についての解説】
・楽譜(クワイヤー・ブック)は2つ用意されている
①全てのパートがのっている楽譜
②cantusとtenorのみがのっている楽譜

・楽譜の順番を確認しながら、当日の順番も同時に確認
第一夜課終わったら休憩6分半から10分(進み具合によって)
第二夜課の後にも休憩。
第三夜課と賛課の間には休憩なし。

第二夜課の詩篇(antiphona Alieni psalmus53)が終わったら、すぐに歌えるように準備をする。

・キアヴェッテで歌うもの
第二夜課「responsorium 4:Tamquam ad latronem」
第三夜課「responsorium7:Tradiderunt」
(ラテン語で「Septem」は数字の「7」。「September」はもともと「7月」。
「July(Julius Caesarが由来)」「August(Augustusが由来)」が入ってしまったために「9月」になった。)

・賛課(前の音はCで終わっている)
Cantus側(②)はBenedictusの楽譜が別に用意されている。
antiphonaが全て終わったら席に戻る。暗いので足元注意!

賛課は本来朝のお祈りだが、前の夜に前倒しでする。
この時、蝋燭(6本もしくは12本)を1本ずつ消していく。
「Miserere」が終わると、「どーん」という大きな音がする(イエスが亡くなった際の地震を再現)。
最後1本残った蝋燭を祭壇の下にいれ、真っ暗闇のなか沈黙。

・エレミアの哀歌
「De Lamentati~」独唱する人を決める。 訳の確認をする。

【歌の練習】
・第一夜課 lectio 1(エレミアの哀歌)
「Heth」(前はGで終わっている)
Altus:「Heth」の箇所。音程。ミ低め。
Cantus:「Heth」の箇所。なんとなく変わらない。
     音の変わり目を搾り出すように。

全体:「Heth」の嘆きの音色を出す。 フレーズを感じる。
急がない。 音をぶつ切りにしない。 語尾はひく。
言葉の感じを出す。(例:dissipare, tetendit, verit)

「Jerusalem」
全体:「Heth」に比べて落ち着いて歌う。
ぼんやり出ない。「Je」を前の方で。
他の音との和音を感じる(「主に立ち返れ」の箇所の和音をきく)
「Ad Dominum Deum」は一息で。

☆全体の課題:音程。和音をきく(太陽と月の関係)。全員練習してくること!

(MU)
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by fonsfloris-k | 2010-11-06 12:30 | 講座レポート