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9月12日 古ネウマ研究(東京)
2015年度 第5回

【総括】
・今日も前回に引き続きアシスタント回でした。
・新たに11. Scandicus flexus, 12. Torculus respinus を学びました。

【前半】―11. Scandicus flexus
・スカンディクスの最後に下行の1音が加わったネウマ。旋律の動きは、上行3音と下行1音。
・基本形は、プンクトゥム2個とクリヴィスの組み合わせのようにも見える。
・基本形は軽い動き。Triplexの例はアクセントの音節を装飾的に歌う意図があるか。
・色々な変化形がある。
・「ヴィルガ+トルクルス」の場合、始部分離による第1音の強調。
・「ペス+クリヴィス」の場合、第2音目が重要な音。第8旋法によく出て来る動き。
・「トラクトゥルス2個+クリヴィス」の場合、前半2音が長い。Triplexの65, 6の例は、後半2音にエピゼマが付いているので、この場合は全てが長くなる。カルディーヌ『グレゴリオ聖歌セミオロジー』73頁に例がある。
・「トラクトゥルス+エピゼマ付きのクリヴィス」の場合、前述の通り全てが長い。フレーズの終わり、カデンツでよく用いられるネウマ。

~休憩~

【後半】―12. Torculus resupinus
・カルディーヌ『グレゴリオ聖歌セミオロジー』74頁では “respinus” となっているが、これは誤り。“resupinus” が正しい。発音は「レスピヌス」。
・トルクルスの最後に上行の1音が加わったネウマ。基本的には「下・上・下・上」という旋律の動きだが、最後2音が同度の場合も。
・トルクルス・レスピヌスは、アクセントの音節に当てられることが多く、最後の音が一番重要な音になる。最後の音でアクセント感を出す。
→トルクルス・レスピヌスの一般的特徴。
・基本形はトルクルスとヴィルガが組み合わさったような形。基本形は軽い動き。
・スカンディクス・フレクススの場合と同様、色々な変化形がある。
・「トラクトゥルス+ポレクトゥス」の場合、始部分離による第1音の強調。1音目でアーティキュレーションを付け、勢い良く最後の音に向かう。
・最後の音にエピゼマが付いた場合には、最終音を強調。
・「トルクルス (最終音にエピゼマ) +ヴィルガ」の場合、後半2音が拡大。
・「流れないトルクルスにヴィルガが付いたような形」の場合、全て長い。これは珍しい形。
・第1音が軽く、残りが長い、という場合には、ザンクト・ガレン系ネウマは色々な形がある。(ランの場合は一貫しており、「流れるペス+流れないペス (ウンチヌス2個)」で記譜。テネーテなどの指示文字の付加は場合による。)

【次回 (10/17)】
・次回は久々に哲郎先生の回です!
・今回の講座で、4音を含むネウマは学び終えました。色々な変化形があり、それぞれで強調される部分が異なっていますので、今一度確認しておくと良いでしょう。
・今回少しだけ 13. Stropha の予習をしましたが、次回詳しく学ぶと思います。

(K.W.)
by fonsfloris-k | 2015-09-12 10:00 | 講座レポート
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