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7月8日 グレゴリオ聖歌入門講座(東京)
祐天寺のフォンスフローリス古楽院で第4回目のグレゴリオ聖歌入門講座が実施されました。
講師は渡辺先生です。
前半は"Regina caeli" (資料15頁)、後半は聖霊降臨の大祝日 
日中のミサの入祭唱"Spiritus Domini"(資料4頁)を歌いました。

☆通称「聖母のアンティフォナ」と呼ばれるグレゴリオ聖歌が4曲あり、
"Regina caeli"はそのうちの1曲。聖母のアンティフォナには他に、
"Alma redemptoris mater"(救い主を育てた母)、
"Ave regina caelorum"(めでたし 天の元后)、
"Salve regina"(めでたし 元后)がある。

☆聖母のアンティフォナは、聖務日課のうち一日の最後に行われる「終課」という
祈りの後に歌われる伝統があった。教会暦の時期によって、どれを歌うかが決まる。

☆"Regina caeli"は第6旋法の聖歌。第6旋法のフィナリス(終音)は「ファ」、
ドミナントは「ラ」。この二つの音程を意識する。
付点や音符の上の横線によって、ファとラが強調されている部分に注意。

☆3段目の"alleluia"の"al"や"lu"に見られる小さい音符は、
有声子音"l"や、二重母音"ui"の2つ目の母音"i"を歌うための音符。

☆"portare"の"por"や"Ora"の"O"など、同じ音節内で、同じ音を繰り返すところ(「反唱」と言われることがある)を練習。息を一回一回送るように、しかし音と音の間に空白(無音)は無いように。

☆"Spiritus Domini"の楽譜には、四角符の上下に、四角符よりも古い時代のグレゴリオ聖歌の楽譜が併記されている。上にあるのが9世紀フランスの写本(ラン市立図書館239写本)、下にあるのが10世紀スイスの写本(アインジーデルン修道院図書館121写本)からとられた楽譜。

☆反唱する部分が、古い時代のネウマ譜でどのように書かれているか確認。ランの方では「点・点・横線」、アインジーデルンの方ではアポストロフィのような記号が複数並ぶ。アインジーデルンでは、エピゼマと呼ばれる付加記号によって繰り返しの最後の音の音価の拡大をしている例がある。また、"terrarum"の部分では繰り返しの最後の音を示す記号が下に長くなっており、"r"の有声子音の発音を明瞭に行うことを示すのではないかと考えられる。

☆1段目のreplevitの"ple"の部分は、四角符によれば「ラド→ドレ」となっているが、アインジーデルンの古いネウマが示す旋律とは一致しない。同様に、"terrarum"の"rum"も。いずれもランの古いネウマが示す旋律とは一致。

次回は久々の哲郎先生の会です!皆さん体調をととのえてご出席下さい(^^)

by fonsfloris-k | 2017-07-08 10:00 | 講座レポート
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