5月30日(日)14:00-17:00、中目黒住区センターで行われた練習のレポートです。
内容 <1>発声 ・フランス的な響きにするために母音を鼻母音のように前の方から上の方に響かせる。上に行きすぎて薄くなってもいけないし、奥にこもったり落ちたりしてもいけない。 ・ソ~ファミ~レド~レミ~ファソ~をヨン~イ→ヨン~イ→ヨン~イ→ヨン~イ→ヨンで歌ってみる。イには緊張がありヨンで解放される感じ。イ→ヨンはテンション→リラックス。物理的にはヨンの方が長いのに感覚的にはイの方が長く感じるような歌い方。ぴょんぴょんしない。優雅に流れるように。 ・装飾は 振幅を広く、ちゃんと上下両方の音が聞こえるように。特に最後の振幅を大きく。 ・ 長い音の場合はゆっくりから初め、次第に速く振幅も大きくする。 ・前の音からまたがるタイがあって装飾がつく場合は拍の頭で動かず、アクセントが付かないように、ただしテンションは一番高まった状態で、伸ばしてからトリルに入る。 <2>Charpentier, Messe de Minuit Agnus Dei ・ 第1Agnusはオーケストラ、第2 Agnusは合唱、第3 Agnusはオーケストラ。従って、dona nobis pacemと歌詞では言わない。 ・8分音符イネガル。 ・3拍目から1拍目への流れをつねに感じる。3拍目から1拍目が生まれるように。 ・ 4小節ずつフレーズ感を持って。それぞれの最後はおさまる。途中のコンマはないものと思って次に続くように。 ・mis-se-re-reの-se-の子音や-re-の子音を早めに言う。直前のイネガルした8分音符のタイミングくらいで言ってちょうどいい。 ・27小節:Dessusの2拍目のcisは長三度を純正にするために低めに取る。次のdは高めに取って戻す。 ・32小節3拍目~36小節はソロ。 ・37~40小節:Haute-contreとBasseはヘミオラ、DessusとTailleはもとの3拍子のまま、の感じになっている。 ・39小節:Dessusのタイのついた装飾は2拍目の頭で動かず、fisが鳴ったままになっているように。動き始めたら振幅を大きく。 ・39小節:Tailleの3拍目のcisは長三度を純正にするために低めに取っているので40小節目の頭は高めに取る。 Sanctus ・ 第1 Sanctus(Sanctus)はオーケストラ、第2 Sanctus(Sanctus)は合唱、第3 Sanctus(Sanctus Dominus Deus Sabaoth)はオーケストラ(したがって、Dominus Deus Sabaothと歌詞では言わない)。Pleni sunt~は合唱。Benedictusはソロ。Hosanna~は合唱。 ・8分音符イネガル。 ・2拍子で取って軽快な感じ。 ・fisやcisの音を低めに取ることを意識して。それに対してgやdの音は高めに取る。「ミファを広く」。 ・32-33小節はin tempoで。遅くならないように。 ・Sanc-は鼻母音の響き、-tusはイの母音が響くように。 ・22小節:Dessusの装飾は拍の頭で動かない(タイのついた装飾と同じ扱い)でfisが鳴ったままになっているように。動き始めたら振幅を大きく。その後のd→cを「ビヨン」で締める。 ・23小節~24小節:Basseの伸ばしている音は24小節の頭で和音が変わる緊張感を出すためにそこに向かってふくらませる。 ・27~28小節:Haute-contreのgisの音は低めに、aの音は高めに。 ・31小節途中からのsactus~はおまけがつく感じでかわいらしく。 ・32小節:Tailleの伸ばしている音(2分音符)は係留音になっているのを感じてふくらませる。 ・44~45小節:DessusとHaute-contreのterraの動きそろえる。ヨン~ビ→ヨン~ビ→ヨーン(装飾)。「ヨン」から「ビ」にいく動きも大事(終わりは始まり)。 ・46~48小節:長く伸ばす音すべて(glo-、glo-、tu-)でそれぞれでクレッシェンドする。gloriaの-ri-aは同音なのでイネガルにしないが、48小節最後のDessusの8分音符はイネガルにする。47小節のTailleの付点8分音符もイネガルにする(付点の場合は同音でもイネガルにする)。 ・ 48小節:Tailleの-aからtuに向けてクレッシェンド。クレッシェンドするためには47小節の-aに入ったらすぐに小さくする。 ・ Hosannaは言葉の切れ目で切れそうで切れない。すべて続いていく感じ。 ・54(76)小節のイネガルを優雅に。ぴょんぴょん跳ねない。55(77)小節の最初の和音は澄み切った湖のように。 ・55(77)小節:Haute-contreの1拍目は長三度の三度を鳴らしているという意識を特に持って。 ・58(80)小節:Tailleのイネガルを優雅に。最後の8分音符を歌い直して59(81)小節に持っていく感じ。 Kyrie(29小節~) ・eleisonの-i-はあまり「イ」と言い直さないで、その前のle-の「エ」の延長で少し「イ」に近くなったくらいにする。 ・-sonの母音が広くならないように。 ・ 4拍目から1拍目、2拍目から3拍目の組み合わせを「ビヨン」と感じる。 ・出だし(29小節~など)のフレーズのKy-r-eはグレゴリオ聖歌のtorculus、e-le-はpes、-i-sonもpes、のイメージで。 ・ 8分音符イネガル。付点4分音符の後の8分音符もイネガルにするのを忘れない。 ・35小節:Haute-contreのKy-の出だしをポン!と鳴らして。 ・37小節など、同音の8分音符でKy-ri-となるところはイネガルにはしないけれど、あまり律儀に均等にもしない。-ri-eをつなげて「ビヨン」と感じるのはイネガルにする時と同じ。 ・41小節:Haute-contreの長く伸ばすfの音は最初は小さく入ってだんだん大きくする。 ・50~51小節は少しリタルダンド。 Christe(52小節~)はソロ Kyrie(100小節~) ・出だしなど、同音の8分音符でKy-ri-となるところはイネガルにはしないけれど、-ri-eをつなげて「ビヨン」と感じるのはイネガルにする時と同じ。 ・この曲ではつねに-ri-eを意識する。 ・106小節:Tailleの3つめの音 h → b <3>Charpentier, In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticum Surgamus(148小節~) (上から女声1、女声2、女声3、女声4、Taille、Basseと表記します) ・ properemusの-pe-re-が「ビヨン」、eamusのe-a-が「ビヨン」、など、言葉ごとにどこが「ビヨン」にあたるかを感じる。 ・-musのuは「イ」の音が響くように。 ・ Bethleemの-le-から-emは狭いエ(イに近い)から広いエに言い直す。 ・156小節&170小節:usqueのsは早めに言う。-queからBeth-の流れを感じ、Beth-でいったんぬいてから-le-emで「ビヨン」。 ・156小節~:女声2のcis、gisを低く。 ・167小節~:女声2のgisを低く。 ・177小節:女声3のイネガルが跳ねないように。 ・183小節:女声2のcisを低く、次のdを高く。 ・187-8小節:pastoresのpas-や-resのsは早めに言う。 *次回はミサのGloria、Credo、Canticumの終曲Salve pueruleを中心に練習します。 (NI) ▲
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| 2010-05-30 14:00
| 古楽院の庭から
・ローマ・カトリック教会でテネブレ(tenebrae)を歌う人:
1)特定の修道院に属している修道士(修道司祭と労働修士)全員 2)特定の教区に属している神父 3)一般の信徒が助祭として神父をサポートするときーこの形態は、最近可能になった。 ・聖務日課の核:詩篇の朗唱 修道院における聖務日課と一日の流れ:朝5時頃に鐘が鳴り(昔)/目覚まし時計が鳴り(現在)、朝課(Matutinum)を歌う(グレゴリオ聖歌のみ、オルガン演奏無し)。その後、賛課(Laudes)と一時歌(Prima) を歌い、9時ごろからミサが始まる。ベネディクト会の場合、ミサの前に三時課を済ませることもある。午後から夜にかけて、六時課(Sexta)、九時課(Nona)、晩課(Vesperae)、終課(Completorium)を歌い、その合間に食事、仕事、余暇の時間も設けている。 ・「テネブレ」(tenebrae)=「暗闇」の意味: 1)テネブレは、現在、早朝に歌われているが、本来、聖週間の水・木・金の夜に歌われていた夜課。 2)テネブレの典礼のなかで、徐々に蝋燭を消していき、Benedictusのくだりで完全な闇を迎え、キリストの死を覚える。 ・テネブレの構成:antiphona、lectio、responsoriumをそれぞれ三つ。3x3=9 ・詩篇唱の定型:antiphonaの主題と教会旋法に合わせて複数の唱句を歌う。 朝課の場合、形式が割合シンプル。 ・詩篇唱のtenor(導入部の後に歌い続ける音):その旋法のドミナントに等しい。 例えば、第一アンティフォンの場合、第8旋法なので、tenorはdo。 (アンティフォナのsi-flat doに向かっている音) ・詩篇唱の特徴:それぞれの旋法のための定型が存在し、始まり+中盤+終盤を特徴づけている。中盤の星印のところは少々間が入るが、唱句の終わりはスムーズにバトンタッチ。 ・演奏法:antiphona(ユニゾン)-psalmus(交唱)―antiphona(ユニゾン)。 普通、アンティフナの前に招詞(invitatorium)、2回目のアンティフォナの後にグロリア・パトリ(Gloria patri)を歌うが、ここでは省略されている。 ・演奏上の注意点:1)ラテン語のアクセントを意識して 2)言葉をつなげて 3)フレーズを感じて 4)盛り上がるところと抜くところを区別して 5)特に星印のところは、声を揃えて 6)第2音を高めに ・朗唱の心得:ハートと技術と音楽性を結合させること ・第1レスポンソリウム演奏時の注意点:1)半音を丁寧に 2)降りるときは丁寧に3)エピゼマは十分に伸ばす 4)始部希薄(initio debilis) は、流れるように 5)salicusの第3音を強 6)“et praevaluerunt“ :激しく 7)“portabant“:“derelinquerunt“に呼応して 8)“acceto“:中盤で一旦ゆるむ 9)弱音節は次の語につなげる、例えば “portabant“ ・修道院の歴史、客室、食事事情:昔は、王侯貴族との密接な関係により、修道院も潤っていた。少年時代に修道院に入る人も多く、生涯をかけて修道士の生活に馴染んでいったが、最近は入る年齢も高齢化。後継者不足と修道院の高齢化に加え、社会の豊かさも修道院離れの引金になっている。 食生活は、多種多様。朝食は各自が一人で済ませることが多いが、宿泊客には普通の朝食が出される。オランダの修道院では夕方、パンと牛乳・紅茶といったシンプルなもの。ワイン好きは、フランスの修道院がおススメ。 ・ネウマ速習講座を別に設けるかどうか、検討中。 (D.E.T) ▲
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| 2010-05-26 19:00
| 講座レポート
於母の家ベテル
受講:20名(S9、A5、T4、B2) 内容 <1>11月3日の発表会(関西講座のみ)の演奏曲目(予定) ・ Messe de MinuitのKyrie、Gloria、Sanctus、Agnus Dei(Credo以外)。すべてソロパートも歌う。 ・ In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticumは最終曲Salve pueruleだけでもできれば演奏したい。 <2>ミーントーンのハーモニー ・ ミを低くして、長三度を純正にする練習 ・ 低く取ったミの後にファに上がる時は広く高く上がるように気をつける。ミファは広く。ミファを狭く取るジョスカンとは逆。 <3>Charpentier, Messe de Minuit Agnus Dei ・ 長三度を純正に、ミを低く、ミファを広くする、ことに集中して音取りしてみる。 ・ 8分音符イネガル。 ・ 3拍目から1拍目への流れをつねに感じる。3拍目から1拍目が生まれるように。 ・ 4小節ずつフレーズ感を持って。 ・ 35小節:Tailleは-ca-に入ったらsubito pianoにしてその後ふくらませる。 ・ 36小節:mun→diは時間取ってもったいつけてかまわないのでさっさと行かない。 Santus ・ 8分音符イネガル。 ・ 32-33小節はin tempoで。遅くならないように。 ・ 48小節:Tailleの-aからtuに向けてクレッシェンド。クレッシェンドするためには47小節の-aに入ったらすぐに小さくする。 ・ 48小節:Haute-contreの4拍目のgisを低く、次の49小節1拍目のaを高く。この2音で「ビヨン」をきかせる。 ・ Hosannaは言葉の切れ目で切れそうで切れない。すべて続いていく感じ。na→in、sis→ho、na→ho、na→inのつもりで(そのために、53小節と75小節の-naとinの間のコンマを取る)。おしりを浮かせたまま(途中ですわらない)のイメージ。 ・ 54小節:Dessusは3拍目の装飾に入る時にfisの音を言い直さない。 ・ 56小節:Haute-contreは小さく始めてクレッシェンドして57小節の1拍目の属七の和音に向かって緊張感を高める。 ・ 58小節:Tailleは最後の8分音符を歌い直して59小節に持っていく感じ。 ・ 64小節:Haute-contreの装飾は下から。 ・ 68小節:Tailleは小さく始めてのばしている音でクレッシェンドして69小節の1拍目の属七の和音に向かって緊張感を高める。 ・ 78小節:Haute-contreは小さく始めてクレッシェンドして79小節の1拍目の属七の和音に向かって緊張感を高める。 <4>Charpentier, In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticum Surgamus(148小節~) (上から女声1、女声2、女声3、女声4、Taille、Basseと表記します) ・ 8分音符の順次進行で、2拍目や4拍目の裏から3拍目や1拍目の表にかかっているスラーは重要なイネガルのサイン。ここで減速しない。ただし、ピョンピョンしない。 ・ 157小節:女声2のcisの音を低めに。女声3のaの音を高めに。 ・ 176小節:Tailleのdで高く戻る(その前のcisを低くするのは、そもそも音程が下がり気味なのでたまたまできている)。 ・ 182小節:Basseの装飾は最初のhの音を4分音符の1拍分伸ばして2拍目から動く。 ・ 183小節:女声2のcisを低く、次のdを高く。 ・ Surgamusのsur-ga-が「ビヨン」、eamusのe-a-が「ビヨン」、など、言葉ごとにどこが「ビヨン」にあたるかを感じる。 ・ 156小節&170小節:usqueのsは早めに言う。 ・ Bethleemの-le-から-emは狭いエ(イに近い)から広いエに言い直す。Beth-でいったんぬいてから-le-emで「ビヨン」。 ・ quidのdは[t]の音で。 ・ 188小節:pastoresのsは早めに言う。 (NI) ▲
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| 2010-05-23 15:45
| 講座レポート
受講15名(S4、C4、T4、B3)
★練習曲 Josquin des Prez 作 ・Salve regina a 4 →バスから1パートずつ前に出て先生より細かく丁寧にレッスンして頂く。 その後、上下2パートずつレッスンしたあと4声をあわせる。 ・Gaude virgo →歌詞読みからはじめ、前回を踏まえ、はじめから4声でレッスンして頂く。 ★内容メモ 《 Salve regina a 4 》 <1> パート毎にアドバイス バス ・イントロ。音から音への流れを感じて。「sal-」の3つめの音が一番目的地な雰囲気で。「-ve」は上声に響きを与える。 ・「misericor-」少し加速させるような感じで。「-cor-」の後半の「レ→ソ・ミ→ラ」の動き。それぞれワフンであり、しかも「ソ」の音は入ったときは「レ」からの流れの“おわり”だが、すぐに「ミ」への流れこみの“はじまり”のように。 ・「dulce-」の「e」が狭くなりすぎないように。豊な倍音の響きで。ここの付点の「ファ」は、黒い短い「ミ」をやりすごして「ソ」へと行く勢いのある音で。その後の「ラ」まで明るくもっていく。「spes」の「シ♭-ラ」は狭く。 ・4段目「salve」の「-ve」の「ミ」高め。 ・「clamamus」の「cla-」の前のミニマ休符はブレスだけくらいの感じで。「mus」の「-u-」発音注意。 ・「exules filii」の「-les」から「fi-」の「ファ-ラ」広く。 ・「filii eve」。[i]母音から[e]母音、スムーズに。 ・「suspiramusu」の「ラ-シ-ラ」(ソルミゼーションして「レ-ミ-レ」と先生)、その後の「gementes」の「ソ-ラ-ソ」の色合いの違いを感じて。「レミレ」の「ミ」のほうが「ソラソ」よりもキツイ音色。 ・「in hac」の「hac」の「ミ-レ」のリガトゥラは、クリヴィス(ネウマの)をイメージして1つの音のように。コツは、う上の音(「ミ」の音)でアーチ上に音が変わっていき、その流れのまま「レ」に収束。「レ」で少し響きが落ちてしまう(音程も含め)ので、上あご、ソフトパレットを意識する。 ・「lacrimarum」の「la-」と「-ma-」の[a]母音は明るく上に輝いた音、「-rum」は「お~」としっかり鼻母音の音で。 ・「illos tuos」の「-u-」の発音注意。 ・「oculos」の「-cu-」はもう少し出して「los」より強く。 ・「et jesum」、「レ-ミ-レ」の「ミ」を高くしっかりとした音色で。 ・「fructum」の前のミニマ休み長くならないように、送れずにすぐに入って。 ・「ostende」の「-sten」の跳躍「ミ-ラ」の音程感覚、ミに対して的確に(明るく上向きに輝く「ラ」)。 ・「o pia」の「ソラシラ」の音程、「ミ」の音に対する感覚を手がかりに「ラシラ」がくぐもらないように。 ・「maria」最後の「-ia」[i]から[a]、響きがくぐもらないよう。 テノール ・イントロ。「sal-」の2つの音は隣の音にいくのではなく繋がっていく。先生は1つのセミに4つの経過をしめし「n-ba-zi-ba n-ba-zi-ba」のようなスキャットを当て込んで、その音に長さを 思い出させる。1つの音程がいったん止まって、次の音程にいきまたいったん止まってしまう私達の歌い方(音を1つ1つ置いてしまう)を示し、そうではなく常にとめどなく流れて次へ繋がっていくように歌うことを示す。 ・「regina」の[i]母音。中に引っ込めずしっかり鼻のほうへ。ミニマ付点のリズム、聖歌の装飾のように。 ・「misericordie」。「シ♭-ラ」をファミと感じて狭く。その後の「レ-ソ」「ミ-ラ」、4つの音音音にしないで(ベースのときの注意と同じ)。 ・「vita」。3つ目の音(3段目の終わりの音)に向かっていくように。 ・「dulce」の[u]の発音注意。鼻空をしっかりつかって。 ・「spes」の「シ♭-ラ」即物的でなく「シ♭」が高すぎないように。 ・「nostra」の「-ra」の上向きな部分を残したまま、音域は下がるが響きをどかんと落としてしまわず、次の「salve」の「sa-」をそっと。 ・4段目「ad te」の「ファソシ♭ラ」音程、歌い方注意。上行で膨らませてフワリと「ラ」におりる。 ・「clamamus」の「-ma-」のリガトゥラ、ネウマのクリヴィスを感じて。丁寧に降りてくるように。 ・「exu les」。「-u-」の母音から「-e-」で響きがどかんとかわってしまわないよう。 ・「filii」の「ラソレ」の「レ」の音程が取れていない。何度も音程を先生から口伝して頂く…。 ・「suspiramus」の「ラシラ」。「-u-」母音から「-i-」母音で高音の歌い方が苦しそうで綺麗じゃない。注意。 ・「et flentes」「ソド」の下行の跳躍。上の「ソ」の響きの中に入るような美しい「ド」を歌うように。 ・「lacrimarum」音程とれていない。 ・「ad vocata」の「-ca-」の[a]母音、こもった「あ」ではなく明るい響きを出すこと、しかし美しい滑らかさを失わず。 ・「nostra」の「ラ-レ」の下行。下の「レ」で響きを落とさないで。 ・「misericordes」の「-cordes」の「ラ-ソ」。2つの音ではなく1つの音にして、「ラ」の流れの先の「ソ」。 ・「benedictum」の音程明確に。 ・「fructum」の入り、ミニマ休みをゆっくりとりすぎない。「fr-」を早めに取って。 ・「ventris tui」の「tui」の「ミ-レ」。「ミ」をしっかり響かせて。 ・「exilium」の「-lium」の「ドレド」は上の「ソ」の響きの中で。 ・「ostende」の「レ-ソ」「ミ-ラ」の4度跳躍美しく。ワフンワフンで。その後の下行した「レミレ」は、前の「ラ」の響きの中で。響き(音程も含め)を落とさないで。鼻から初めて。 ・「o」の「ラシラ」。明るく上向きに響かせて。 ・最終段2回目の「dulcis」音程注意。 ・「virgo」。入り遅くならない。 コントラ ・「salve」の[a]母音明るく。 ・「regina」の入り口繊細に。付点のリズム注意。「ファミ」のニュアンスに気を配って。 ・「misericordie」。2段めの上行と最高音の開いていく感じと「-die」の最後の音の解脱、注意。 ・3段目真ん中にある「nostra」の「no-」に向かうセミの上行しっかり。「-stra」の跳躍、音程明確に。その後の「salve」のリズムと音程「ファミ」のニュアンスを意識して。 ・「exules」の下行にある「ファミ」注意。 ・「eve」。最終音の前の音をしっかりさせてから最終音解脱。 ・「ad」のリガトゥラはクリヴィスの意識。 ・「suspiramusu」の付点の後の連続する「ララ」、少しアーティキュレートさせて。はじめの「ラ」は、前からの終わり、2個目の「ラ」は始まる「ラ」。最終の「ミファ」にも注意。 ・「gementes」の「-men-」の[e]母音は、後ろの「n」に影響され、狭い(iに近い)「え」ではなく、広め。 ・「et flentes」。「et」の音程。「fl-」の子音早めに。[e]母音狭くならないように。 ・「lacrimarum」。「-cr-」早めに。「-rum」発音「オ~」。 ・「eya ergo」の最後の「ファ-ラ」は「びよ~ん」で。 ・「oculos」の最後も「びよ~ん」。 ・「converte」の付点の後の短い音。中世のプリカ、あるいは聖歌にあるリクエッシェンスのように。 ・「fructum」の「fr-」早くはじめる。 ・「ostende」の「レ-ソ」の跳躍、下からワフン。「-sten」に入る前の「レレ」注意。 ・「clemens」の連続の「ララ」注意。初めのラで一瞬緊張がゆるむように。 ・「dulcis」の「-cis」。発音は「シス」。 スペリウス ・「salve」。はじめのリガトゥラ。1つ1つの音程の終わりから次の音程へゆく勢い、流れを忘れない。 ・「regina」。はじめの付点の長いほう、もう一瞬長く。 ・「misericordie」2段めの下行の後の「レラ」の跳躍、繋がりをもって。 ・「dulcedo」。「dul-」から「-ce」に入るとき繊細に。 ・「clamamus」。「-mus」の終わりの音軽くはするが、響きが痩せるのではない。 ・「filii eve」。「-i」「e-」の「レレ」の連続。音の変わり目を早くする(スピード感を早くする。さっと変わる)ことでアーティキュレーションを出す。黒いセミの「ミ」の音から、ひゅ~と勢いとふくらみのある「みー」がきて、黒色のミニマの「レ」にぴゅーと入ってくる流れの勢いがあって、その後に白いセミの、始まり感のある「レ」となる。その隙間をもたもたさせずに早くする。[i][e]の母音の変化にも注意。 ・5段目終わり「et flentes」の「ドド」の連続のアーティキュレーションも注意。「fl-」を早く入る。響きは全体が繋がっているように。 ・「lacrimarum」の「-ma-」。[i][a]を[m]が仲介し切れ目無くそれぞれの母音にしっかりなること。 ・「et jesum」の「ラ-シ」広く。 ・「benedictum」の「-dictum」。発音「ディ..トン」と「c」を飲むように。 ・最後から2段目最後「o dulcis」音量ボリューム小さくしても、輝きがなくならないように。「dul-」に入る前の「ドファ」の跳躍注意。その後の「ドド」の連続のアーティキュレーション注意。 ・最後の黒色の「ミレ」と「レレ」の連続、「ミーレ」のふくらみと流れ、「レレ」のアーティキュレーション注意。 <2> 2声ずつレッスン コントラ&スペリウス ・音程感良くあわせて。コントラは低くめ、スペリウスは高めで、両者が離れているのでよく聞きあう。 ・2段め7つ目のミニマ「レ」から次の「ソ」への跳躍。プリカのように。 ・「dulcedo」の「du-」母音発音注意。 ・3段目[C]の前の「salve」の連続する「レレ」アーティキュレート注意。 ・5段目真ん中から後ろ「gementes」「flentes」の「-men-」「len-」の[e]母音は[n]に影響された[e]。「-tes」の[e]は狭い[e]。下から3段目「ostende」も同じ原理で「-ten-」の[e]と「-de」の[e]は別。 バッスス&テノール ・3段目9つ目の音、セミの「ラ」、テノールに低めの人がいるので注意。 ・3段目最後の音から「salve」の歌い方、入り口から無骨にならずエレガントにはじめて。これ以上高貴な人はいない、と言う人に対して言うように。 ・5段目「ad te」両者音程感に注意。 ・下から4段目[F]の前、「ad nos」音程感両者合わせて。テノール「converte」の「-ver-」の音程「ミ」の歌い方注意。 ・最終段[H]の前「dulcis」の「ソ」不安定。両者音程合わせて。[H]の後の「virgo」の「ミ」の音程注意。 <3> 4声あわせる (アドバイスは特になし) 《 Gaude virgo 》 <1> 歌詞をみなで読む ・どこからどこまでが詩のまとまりかを感じる。各節が Gaude からはじまっている。はじめの3つはそれぞれ -tio で終わっていて、ここで一度詩としては区切られているが、内 容は次と繋がっている。5つの Gaude からのまとまり。後半は2つはそれぞれ -rio、-tio で終わっている。その後3行は Gaude からははじまらないまとめで終わる。 ・salve regina 同様に、最後の言葉の響かせ方、「-tio」などの言葉の響かせ方が大事。 <2> みなで歌う ・まず音楽から離れて「iya- iya- iya-」を「レ-ラ」でみなで響かせあって、音程感覚や声の響く位置の一致を試みる。低声パートと高声パート、それぞれがレラを交互に出して、交互にしているように聴こえないような同質なもの、一致を試みる。発声的なこと。みなの声の、鼻とか顔の前のほうの響が不足しているのを、もう一度思い出させ、もっと開発していくように促すニュアンスを伴いながら。 ・スペリウス。イントロ、6つめからの「ラシ♭ラ(ミファミ)」音程注意。「ミ」が低くなる傾向を改善するように。イントロ、先生がしばらくの間「レ」をずっと響かせてくださり、2声がその「レ」の響きの世界の中で一致しているように促す。 ・女声、はじめに現れる「Christi」「concepisti」の「-sti」の響かせ方をそれぞれきちんと意識していること。 コントラ、「concepisti」の前、全員できらず誰かが続けるように。リズム感が、長い音であっても“座ってしまわない”(止まってしまわない?)ように。 ・[1]から、男声、音程が多すぎる。もっと1個に。「quia」の「ラ-レ」の下行、「plena」の「シ♭-ラ」音程と歌い方注意。その後に続く同じフレーズも同様に。先生が「レ」を響かせてくださり、その上で歌う練習をする。 ・バッスス、イントロ「レ-ファ」狭く。ビクトリアでの感覚とは違うので注意。 ・コントラ2段め終わりからの、3になるところ、頭をしっかり感じて。 ・テノール。[2]後の休符のあと「quem」、すっと間に入ってくるように。下から2段めの「morten」も。[3]の長い休符のあとの「gaude」も同様に。こちらは自信をもって(全体の流れの中でしっかり理解している上で)。 ・女声。[3]後の「resurrexio」の「ラシ♭ラ(ミファミ)」音程注意。両者クリアに揃えて。 ・[5]前の「palacio」柔らかく入る。 ・[6]前の「gaudio」は締めくくりの「gaudio」なので少し強調して。 ・スペリウスの最後1つ前のフェルマータについた♯はなぞではあるが(普通はありえないが)一応いれておいて。 ※フィクタ指示 スペリウス ・2ページ目のコロル5つ目、13こ目のシ♭ → シ (TI) ▲
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| 2010-05-23 13:00
| 講座レポート
於母の家ベテル
受講:26名(S9、A10、T4、B3) 内容 <1>Victoria, Laudate pueri ・長三度を純正に。つまり「ファは高く、ミは低く」「♭がついた音は高く、♯がついた音は低く」「半音を広く」。 ・出版された楽譜で通奏低音のパートが付けられた最初期のもののひとつはビクトリアだった。つまり、和音の概念が強くなっているということ。ジョスカンの頃は旋律がからんで結果的に和音ができていたが、ビクトリアの頃は和音が骨になっている。特に長三度を純正にすることにこだわっていた時代。 ・言葉のアクセントや抑揚に従って旋律がつけられていることを感じて歌う。アクセントのある音とない音の差を出す。 ・言葉の意味を和音の色合いの違いで出していることを感じる。たとえば、Sit nomen Domini benedictumのbenedictumはやわらかい雰囲気で。 ・長い音はあとをふくらませる。 ・経過的な音と到達する音、フレーズ感を意識する。 *Laudate pueriを最後まで大きな楽譜で歌いましたので、次回はNisi Dominusをやります。譜読みをして準備しておきましょう。 (NI) ▲
by fonsfloris-k
| 2010-05-22 15:45
| 講座レポート
於母の家ベテル
受講:27名 内容 <1>Syllabicなミサ通常唱(前回の復習) ・Syllabicな聖歌はそもそも言葉を唱えるためのもの、言葉の抑揚を出すように歌う。 Kyrie(P.2上) ・終音がミであることを示すファが最後にしか出てこなくて、ここを間違えやすいので注意。 ・第3旋法の特徴はfinalisミとその上ファ、dominantシとその上ド、の両方が半音であること。これに比べ、第1旋法はfinalisレの上もdominantラの上も全音。ただし、fa supra laの法則でラの上がシ♭(ファ)になることがある。fa supra laを理解するためにここでヘクサコードの説明。 <2>ヘクサコードHexachordum ・Hexachordumはut re mi fa sol la(ド レ ミ ファ ソ ラ)による6音音階。 ・Hexachordum naturale:C D E F G A を ut re mi fa sol la とする ・Hexachordum molle :F G A B♭(丸いb) C D を ut re mi fa sol la とする ・Hexachordum durum:G A B♮(四角いb) C D E を ut re mi fa sol la とする ・♭とは、もとは b rotundum(丸いb)のこと。 ・♮さらに♯とは、 もとは b quadratum(四角いb)のこと。 ・たとえばAにはla、mi、reの可能性があることから、この音をAlamireという。 ・ヘクサコードで音階を読む時はシを使わないで、3種類のヘクサコードを乗り換えながら読む(ソルミゼーション)。 ・シを使わずにヘクサコードで読むことで、もともと小さな有機的な旋律の固まりが次々と自然発生的につながっていくようにして歌が生まれたことを感じられる。 <3>Syllabicなミサ通常唱(前回の復習)つづき Kyrie(P.2下) Gloria(P.3) Praefatio(P.4左) Sanctus(P.4) Agnus Dei(P.5) <4>OligotonicやMelismaなミサ通常唱 Kyrie(P.5)(前回の復習) Kyrie(P.6)(前回の復習) Gloria(P.6-7)(前回の復習) Gloria(P.7-8) ・第8旋法。旋法をよく意識して作られた聖歌と思われる。 ・言葉より旋律を重視している(音節やアクセントの扱いに統一性がない。順次進行の旋律が多い)。ローマ聖歌に多い。 Sanctus(P.8右上) ・最初の記号はヘ音記号。 ・第2旋法に分類されているが、dominantはファとはいいにくい。finalisはレなので、レの旋法という意味で大きくProtusには分類できる。この曲は4度上のdominantを持つProtusと言ってもよい。 ・旋法的に大切な音と経過的な音との違いを意識して声を使う。 Sanctus(P.8右下) ・第8旋法。1つ目のSanctusや3つ目のSanctusは第8旋法、2つ目のSanctusやPleni sunt caeli et terraは第7旋法の雰囲気を持っていて、その違いを感じる。 ・Gloria(P.7-8)ととてもよく似ている。同地域同時代のものでは? Agnus Dei(P.9左) ・第1旋法。dominantはラというよりソと感じる。ただ、peccataのアクセントの音節-ca-のラに上がるpesにテネーテがついているので、このことによって、曲全体をラが支配していると言える。 Agnus Dei(P.9右) ・第4旋法。さっと歌って終わり。 配布プリント ・「フォンス・フローリス古楽院関西講座 グレゴリオ聖歌 2010年度」P.15〜P.27 (NI) ▲
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| 2010-05-22 13:30
| 講座レポート
西洋音楽史のなかでも、とても特色ある一時代「フランス・バロック」の魅力あふれる世界を、スペシャリスト、関根敏子先生が楽しくお話しする連続講座が開講します
![]() 月1回、初年度は代表的な作曲家を一人ずつご紹介します。同時代の音楽や社会にも触れて、年表を参照しながら、CD、DVD鑑賞を交えて生涯を説明していきます。 扱う作曲家は、リュリ、M-A.シャルパンティエ、ドラランド、クープラン、カンプラ、ラモーです。その後ブジニャック、ランベール、マラン・マレ、デュモン、デマレ、クレランボー、オトテール、フィリドール、ルクレール、コレット、ボワモルティエ、モンドンヴィル、モンテクレールなどマイナーな作曲家も取り上げます。今後、時代別、ジャンル別のお話も続いていく予定です。 毎回冒頭に古楽院院長花井哲郎による5分程度のクラヴサンの演奏があります。また、お茶とお菓子を頂きながらの歓談の一時もお楽しみ頂けます。ふるってご参加ください。 ![]() 日程:毎回土曜日 午後6時30分~9時 講師:関根敏子(せきねとしこ) 音楽学、音楽評論家桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科(音楽学)卒業後、フランス政府給費留学生としてフランス国立パリ高等音楽院(パリ・コンセルヴァトワール)に学ぶ。またチェンバロをスコット・ロス、トン・コープマン他の各氏に師事。帰国後、桐朋学園大学・早稲田大学講師を経て、現在は昭和音楽大学・東洋大学・白梅学園大学各講師、音楽文献目録委員会事務局長。その他、新潟大学・京都市立芸術大学での集中講義、朝日カルチャーセンター新宿・横浜、さらに新聞や雑誌の評論など。4月よりNHK-FM番組「バロックの森」を担当。 主要な著訳書:『古楽演奏の現在』(監修)『西洋の音楽と社会:後期バロック』(監訳、2巻)、『ドメニコ・スカルラッティ』[いずれも音楽之友社]、A.ヘリオット著、『カストラートの世界』(国書刊行会、共訳)、ドメル・ディエニー著『演奏家のための和声分析と解釈:フォーレ』(翻訳、シンフォニア)、『音楽がわかる。』(共著、朝日新聞社)、『21世紀の音楽入門1~7』(共著、教育芸術社)、リスト著「ショパン」(訳)他、多数。 【申込み・問合せ】 フォンス・フローリス(窪田) phone/fax: 04-7140-7225 e-mail: m-kubota@fonsfloris.com ※お申込み後に、受講料の支払い方法、古楽院地図をお知らせ致します。 ▲
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| 2010-05-19 00:24
| その他
出席17名
①4/24の復習を質問形式で確認(4/5、4/10、4/24の内容を参照) ②第2夜課の1.antifona:Vim faciebantの練習 ・Ant.の歌い方 はじめは、カントールの役割の人が、*印までひとりで歌う。 quiから全員で、二重線まで歌う。 ・詩編の歌い方 ふたつのグループに分かれ、詩編ひとつずつを交互に歌う。 1.の詩編のみ、はじめのグループの先唱者が、*印までひとりで歌う。 nequeからはじめのグループ全員で歌う。 2.の詩編は、後のグループが、最初から全員で歌いはじめる。 その際、はじめのファ、ソ、ドはド、ド、ドと歌う。 以後同様に交互に歌う。 12.まで歌い、Ant.に戻る。戻るときは、はじめから全員でAnt.を歌いはじめる。 ・詩編の高低の動き方 前半(*印の前)はボールドのところで上がり、次で下がる。 ボールドの後に母音がふたつある場合は白抜きの□(四角)にあてはめる。 :*ここで、ふた呼吸間をあけ、響きを聞く(4/24の記録を参照)。 後半は斜体のところで下がり、次の斜体でもとに戻り、次のボールドで3度下がり、その次でもうひとつ下がる。ボールドの後に母音がふたつある場合は白抜きの□(四角)にあてはめる。 10.の十字架マーク(フレクサ)は、Ant.の最後のところに出ているように(Flexa)歌う。 ③第1夜課のlectio朗読3:Ego virの練習 ・もとのグレゴリオ聖歌を歌う。朗読のように歌うこと。 ・ポリフォニーを練習する。 ポリフォニーも、もとのグレゴリオ聖歌の流れを実現できるように歌う。 当時の楽譜は、キアヴェッテで書かれている慣習があり、今回は今のところ短3度下げて歌う。 音程は、長3度を純正に取るようにする(ミーントーンを基本に)。 ♭・ミ・シ →低めに ♯・ファ・ド→高めに ④ 第2夜課のresponsorium6:Animam meamの練習 ・もとのグレゴリオ聖歌を歌う。 ・ポリフォニーを練習する。 ポリフォニーも、もとのグレゴリオ聖歌の流れを実現できるように歌う。 Bassusは全体の和音の決め手となる。 曲の順番に注意 Animam.→Quia.→Insurrexerunt.→Quia.→Animam. (Cantusは、insurrexeruntは歌わない) 各responsoriumの3つめだけ、またはじめ(のAnimam)に戻る。 ⑤ 第3夜課のresponsorium9:Calligaveruntの練習 ・ポリフォニーをmamamaで練習 注: キアヴェッテ・トランスポルタータ (伊:chiavette transportata) 移調譜表。16世紀複音楽声楽曲に用いられた記譜法で、実際に記された音よりも高く、或いは低く(通常3度、高く或いは低く)歌われるもの。 (MS) ▲
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| 2010-05-15 13:30
| 講座レポート
音楽史講座第2回
541頁8行目「ファバードンとスクェア」(第34章「イギリス、初期チューダー朝」)から560頁20行目「ヴィチェンティーノと半音階」(第35章「音楽理論」)の前までの講義でした。 次回は、第35章の残りの二つの話題にふれ、第36章は時代背景なので、飛ばして、第37章「スペイン、イタリアの対抗宗教改革」に入る予定です。 ファバードンとスクェア 16世紀のイギリスでは、ファバードンとスクェアという技法を使った作曲が行われていました。 「ファバードン」 聖歌のある旋律を元にした対旋律(ファバードン)を作ります。このファバードンを使って多声部の音楽を書くのです。ロンドンのセント・ポール大聖堂のオルガニストであったジョン・レッドフォードがその代表的な作曲家です。 「スクェア」 こちらはもっと謎に満ちています。多声部の音楽のあるパートの旋律を単旋律として取り出し、これを定旋律として使って、別の多声部の音楽を作っていくのです。ヘンリー8世につかえたニコラス・ラドフォードがその一人です。 イギリスの宗教改革 ここでカトリック時代のイギリスは終わります。大陸では教義上の問題で宗教改革が始まりましたが、イギリスではヘンリー8世の「離婚」という個人的な動機からローマ教会と断絶し、イギリス国教会(聖公会)が誕生しました。統一的な祈祷書も制定され、礼拝では英語が使われるようになりました。 イギリス国教会の音楽 カトリックに比べて、音楽の果たす役割は少なくなりました。英語のテキストを元に、各音節に一つの音だけを使うという、できるだけ単純な音楽になっていきます。修道院も閉鎖され、音楽の中心が教区の教会へと移ります。ただし、カトリックの信仰を持ち続ける貴族もおり、ウィリアム・バードのように、カトリックの宗教音楽を書き続けた作曲家もいました(第40章で触れます)。 「単旋律音楽」 英国国教会は楽譜付の祈祷書を出しました。これが聖歌集となります。礼拝も「早祷」「聖餐式」「晩祷」の三つに集約されました。礼拝の音楽も音節に従った単旋律が中心となりました。 「スターンホールドとホプキンスの詩篇」 詩篇はカルヴァン派に倣って、韻文の形で英訳されました(ラテン語の聖書では散文です)。最初は詩のみでしたが、1556年に音楽付きで出版されます(女王メアリーの治世では、カトリックが復活したため、ジュネーブに難を逃れて亡命していた人たちによる)。アメリカにわたったピルグリムファーザーズたちもこの詩篇を携えていました。 「多声部音楽」 多声部の音楽も音節に従った曲となりました。譜例34-8「神の仔羊」を見て下さい。クリストファー・タイもアンソロジーの第82曲のような曲を書いています(録音がないので、同じ内容の別の曲を聞きました)。 第6部「16世紀後半」 第35章「音楽理論」 この章では、グラレアーヌスと旋法、ヴィチェンティーノと半音階、ザルリーノと対位法の三つを取り上げます。 グラレアーヌスと旋法 グラレアーヌスは1488年、スイスに生まれ、人文主義者としてプロテスタントに対抗し、グレゴリオ聖歌を守りました。スイスの教育改革にも貢献しています。 「12の旋法=ドデカコルドン」 グラレアーヌスは、これまでの8つの旋法に加え、さらに4つ旋法があるとしました。第9旋法=エオリア、第10旋法=ヒポエオリア、第11旋法=イオニア、第12旋法=ヒポイオニアです。エオリア旋法はイ短調、イオニア旋法はハ長調に相当します(それぞれに下方展開型があります)。これらの旋法は、すでに当時の楽曲にあったのですが、これまでの8つの旋法では、説明し切れないために、12の旋法を提唱したのです。 グラレアーヌスは、人文主義者ですから、ギリシャや中世の忘れ去られた典拠をもとに革新的なことを言い出しました。大きな反響を呼び、全ての旋法を網羅した曲集まで現れます。いずれにせよ、グラレアーヌスの著した「ドデカコルドン」はアンソロジーとしても優れており、ジョスカンやデュファイらの名曲が収められ、今日まで伝えられています。 「旋法と多声部音楽の問題」 多声部音楽で旋法をどう扱うのか、そもそも旋法というのは本当か。理論家と作曲家との間でも見解がわかれます(この問題については、日本人の研究家=東川清一さんが最近『旋法論』という著書を出しましたので、ぜひ読んでください)。そもそもベートーヴェンは第1交響曲を書くときに、はじめからハ長調で書くぞ、と思っていたのでしょうか。 「旋法の社会的特性」 どの旋法がどういう性質を持つのか、といった議論がなされ、これは19世紀の調性の議論にまで持ち越されます。ただし、バロックになると、楽器との親和性の問題から調律法の問題へと変質していきます。 (KI) ▲
by fonsfloris-k
| 2010-05-15 11:00
| 講座レポート
出席14人
*グレゴリオ聖歌についての確認事項 ・グレゴリオ聖歌とポリフォニー音楽の違いとは? 音の数比関係があるのがポリフォニー音楽で、ないのがグレゴリオ聖歌 ・グレゴリオ聖歌は楽譜として出現した10世紀にその基本的レパートリーはほぼ完成されていた。つまり、それまでは覚えて継承されていったもので、地域によって、また、時代によって異なるものもあるが、たとえばクリスマスにはヨーロッパ中でほぼ同じ聖歌が歌われていたものと思われる。 *白色計量記譜法 ・音符と休符の確認(特に間違えやすいsemibrevis とminima は要注意) ・Mensura 16世紀までは3(拍子)と2(拍子)のみで、4拍子というのは存在しない。 C は2(拍子) brevis = semibrevis +semibrevis ¢ はCに縦線を入れ、テンポを少し早めにという意味だったが、16世紀後半頃から古い時代の名残で、これが基本mensuraとなる。 ・longa は曲の途中では4拍分、最後ではずっと伸ばす。 ・ligatura 左上に棒がある時は 2音ともsemibrevisになる。 「ひだりうえにぼうはセミ・セミ」 (cf. p.39 CANTVS Secun. 3段目 plate-is の部分) ・color もともと白い音符を黒く塗り、音価を3分の2にする、または一段下の音価の付点にすることをいう。 (p.39 CANTVS 5段目 MEM のところ brevis,brevis, 次はbrevisの3分の2=semibrevisの付点の意味 , minima) *演奏上の注意 ・他のパートが何をやっているかをよく聴き、ポイントポイントで完全5度の響きを聴いて確認して歌う。 ・♭シ、ファは高めに、ミ、シ、♯は低めにとる。(長3度を純正に!) ・カデンツの音が長ければ、入りは小さめにして、緊張が高まる他声部の動きを支えるために少し膨らんで、最後は収める。 ・ALTVS p.40 最後の段 in tempoで! 他声部はまだ続くので。 ・グレゴリオ聖歌のLectio Ⅱ dixerunt のどで留めないで、軽く言う。 アクセントの音節に気をつけて発音する。 語りと歌が一致するように歌う。 朗唱は語りに旋律をつけたもの。Victoriaも同じ音の反復が多く、もとの朗唱をイメージして演奏する。 ・CANTVS p.39 3段目 vulnerati と in の間にブレスを入れるが、 CANTVS Secun.の同じ部分では、音楽的にブレスは入れず、繋げて歌う。 ・ii は繰り返しの意味 **次の2曲(P46、50)を(言葉はつけず)音取りをしておくこと!!! (KO) ▲
by fonsfloris-k
| 2010-05-10 14:00
| 講座レポート
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