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新年度、安邨尚美先生が担当される講座を先生自身に紹介していただきます。
ただいま受講生中 ![]() 詳しくは、フォンス・フローリス古楽院のウェブサイトをご覧ください。 ◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆ コンドゥクトゥス(Conductus)とは、ラテン語のConducere (付き添う、 導く)という言葉に由来する語で、日本語では「行列歌」などと訳されたりしています。基本的にラテン語で自由に創作された歌で、典礼に伴う動作・移動・行列の際の伴奏のような役割を持っていました。コンドゥクトゥスという言葉は(現存するものでは)12世紀頃に編纂された写本に現れ、13世紀頃までさかんに作られました。 ![]() 今回取り上げるのは、パリ・ノートルダム楽派のコンドゥクトゥスです。この時代の重要な写本である、フィレンツェ(フローレンス / フロランス)写本 Pluteo29.1には、250曲以上のコンドゥクトゥスが収められています。その中には、1声から4声のものまで、また形式も単純なシラビックなものからメリスマティックなものまで、そして歌詞も特定の儀式を意識した厳粛な内容のものから宗教曲とはみなしにくいような、世俗的な内容や風刺など、非常にバラエティに富んだ内容になっています。 コンドゥクトゥスはその時代に盛んだった、オルガヌムやモテットとは違い、基になる単声聖歌がなく、歌詞も旋律も全く一から創作されるため、制約が少なく自由度が高かったので、特に歌詞においては徐々にエスカレートしていったのでしょう。歌詞も旋律も自由に作れるのですから、作者の腕も鳴るというものです。 当時の理論書の中に、「コンドゥクトゥスを作曲するには、まず素晴らしいテノールの旋律を考えることだ」、という言葉が残されています。その上で他の声部を重ねるのだと続いていますので、多声のコンドゥクトゥスを作るとき、その作者は明確に多声の曲を作曲することを意識しながら、テノールと呼ばれる柱になる声部を作り始めていたというわけです。 ということは、コンドゥクトゥスを歌ってみれば、12~13世紀パリの人々が考えた ”素晴らしいテノールメロディー” と ”それを彩るハーモニー”を体感することができるということになりますね。 そこで、今回はこの1声から(できれば)4声までのコンドゥクトゥスを、毎回すこしずつ学び、歌いながら、当時の人々が感じていたであろう心地よい響きというものを、みなさんと共有してみたいと思っています。その際、”響き”という点を中心に学べるよう、できるだけ単純な構造のコンドゥクトゥスを、できるだけたくさん(といってもそんなに多くの曲はできないと思いますが)歌いたいなと思っています。というのも、この(時代の)曲には1つ大きな問題点があります。それは楽譜で、じつはこの時代はまだ、みなさんおなじみの(?)計量記譜法ではないのです! どんな楽譜かというと・・・ ![]() 一見、四角い音符だし、しかもスコア(!)だし、読めそうですが、これではリズムが分かりません・・・。しかし、実際音楽を聴いてみてください。(たとえば以下、他にもYouTube上にいくつか他の演奏があります。ちなみに私の解釈では、こんな風に指揮はしませんし、リズムも多少違いますが、なんとなくのイメージを持つための資料としてお聴きください。) [YouTube動画]Ave Virgo Virginum, Perotin (1160 - 1230), Conductus これなら歌えそうですね!できるだけ、この例のような簡単なものを歌っていこうと思っています。楽譜を解読することに時間をかけるのでなく、実際にどのような響きを求めて行くか、そのためにはどのように歌っていけばよいのかという、実技に時間をかけてじっくり取り組んでいきたいと思います。歌詞の読み方などもきちんと時間をかけていくつもりですので、心配はいりません。みんなで、1からじっくりと、興味深い中世・コンドゥクトゥスの響きを学んでいきましょう! ▲
by fonsfloris-k
| 2014-02-28 09:44
| その他
新年度、辻康介先生が担当される講座を先生自身に紹介していただきます。
フォンス・フローリス古楽院では、今春開講する新年度講座の受講生を募集しています ![]() 詳しくは、フォンス・フローリス古楽院のウェブサイトをご覧ください。 ◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆=◆ 中世の移動ド入門講座1:同じ音がなぜ取れない?Alamire 合唱などで歌っていて、さっき出てきたばかりの同じ音(例えばAのいわゆる「ラ」の音)なのに音が取れないという経験は誰にでもあるでしょう。なぜ、二度目に出てきた同じ音が分からないのでしょうか?それは「同じ音」と思っている音が実は違う音だからです。違う音を「同じ音」だと考えるから歌えないのです。1600年初頭までヨーロッパで実践されていた移動ド唱法では例えば同じAの音もそのLa だったりMiだったりReだったりします。「アラミレ:Alamire」という言葉を聞いたことがありませんか?違う音を違う音として感じる、中世の移動ドは歌う人の自然な感覚に合ったソルフェージュです。 中世の移動ド入門講座2:同じ音程なぜ間違える? たとえば完全五度の跳躍音程(D-Aなど)を皆さんは数えきれないほど歌ってきたでしょう。それなのになぜ、同じ音程が歌えないときがあるのでしょう?それは同じと思っている完全5度の旋律が実は違うからです。例えば、昔の人は完全5度には4種類あることをいつもはっきり意識し感じていました。同じ完全五度のメロディーでも短調の曲と長調の曲で「感じ」が違うことを皆さんはよくご存知のはずです。固定ド唱法ではその種類の違う音程を同じ呼び方をしていますが、中世の移動ドでは同じ完全5度でも違う種類の音程は違う呼び方で歌いました。皆さんが日頃感じている、自然な感覚を中世の移動ドは目覚めさせてくれるのです。 ![]() 中世の移動ド入門講座3:せっかくオリジナル楽譜を使うなら 最近はヨーロッパの図書館の資料をネットで簡単に見ることが出来ます。昔の人たちと同じパート譜を使って歌うことも出来ます。1500年代の楽譜は現代の楽譜と基本的なシステムは同じですから慣れればけっこう使い易いし、この譜づらで歌うだけで、演奏のヒントを沢山感じられるでしょう。ですが、中世の移動ドを知らない限り、オリジナル楽譜で歌う皆さんの楽しみは半分だけなのです。というのは、中世の移動ドで楽譜を読むためのガイドに「グイードの手」があります。計算をするためのそろばんのようなものですが、この「手」に書かれていることは楽譜システムや音符と一体になっているのです。例えば、「手の外」の音が楽譜に書かれることがあります。手には入りきれない高い音域などの音です。それは「手」で楽譜を覚えた昔の人にとって、普通の「手の中の音」とは別の特別な音でした。作曲家は、何気ない旋律もわざと手の外の音で書くことで特別なニュアンスを提案することも出来ます。この「高い音」が私たちの常識ではたいして高い音ではなかったとしても、昔の人はそこに作曲家の特別なメッセージを読むことが出来たのです。 中世の移動ド入門講座&年間講座:分からない教会旋法、なんのために? 古楽をやるには教会旋法を理解したい、と皆さんは薄々気づいているでしょう。そこで、一度は音楽史や楽典の本を開いて、最初の方のページに書いてある解説読まれたことでしょう。でも、それはいくら読んでも分からなかったに違いありません。ある本には旋法は8つと書いてありある本には12と書いてあります。正格旋法と変格旋法の違いは「音域」と言われてもピントくるものがありません。詩編唱のメロディーと旋法の関係もなかなか覚えられず言われるがままに歌うしかない・・・それもそのはずです。昔の人は旋律が持っている実に様々な特徴を感じながら「旋法」を理解していたからです。例えば、たった一つの音が「不完全な」旋律を「完全な」旋律にし、その音に特別な歌詞が歌われていたりします。昔の人たちが語り継いできた「旋法」は旋律の美しさをひもとく豊かな言葉で満ちあふれています。昔の人たちと同じように中世の移動ドで旋律を読み解き、感じて歌いましょう。 ![]() 中世の移動ド入門講座&年間講座:ムジカ・フィクタ1 どうして昔の人はちゃんと臨時記号の♭や♯を書いてくれないのでしょうか?それは印刷屋さんの都合ではありません。昔の人は臨時記号が一切書かれていなくてもどこで♭や♯を出動させるべきかわかりました。しかも、スコアではなくパート譜だけで歌っていても分かったのです。おそらく、所見の段階でほとんど正解で歌えたでしょう。(多少の打ち合わせは必要なこともあるし、半音階を過剰に使った曲は別です。)なぜ、そんなことが出来たのか?それは昔の人が中世の移動ドで歌い、中世の移動ドで聴いていたからです。例えば、音を♭に変更すべき旋律はいつもFa-miであり、他のパートと一緒に歌ってはいけない音がmi とfa・・・中世の移動ドならとても簡単になるのです。 中世の移動ド入門講座&年間講座:ムジカ・フィクタ2 現代に編集された楽譜にはここを臨時音的に♭(あるいは♯)にせよと指示がありますが、もちろん指示が正しいとは限らないし指示が足りない場合もあります。♭や♯の臨時音「ムジカ・フィクタ」を出動させる理由はいろいろありますが、中世の移動ドを学んで自分で考え解釈出来るようになることはとても素晴らしいことです。理由は二つあります。一つはムジカ・フィクタがまずは旋律の問題だったということ。和声ではなく旋律で音楽をつむぐための「節回し」の秘密がここにあるのです。そして、作曲家は大切な歌詞を表現したいところ、つまり歌っていてとても「いい感じ」のところムジカ・フィクタを使うからです。昔の人たちのソルフェージュ「中世の移動ド」は音楽表現の大切なヒントであり私たちの感性を刺激します。 中世の移動ド年間講座:旋律論1 1600年ぐらいまでのヨーロッパ音楽は幼少の頃から毎日グレゴリオ聖歌を歌っていたような人たちが作った音楽です。ポリフォニー音楽においてもその旋律の豊かさ雄弁さ美しさは皆さんが感じているとおりです。ですが、私たちの耳は和声や和声進行ばかりを捉えることに慣れすぎています。音大でも和声や対位法を理論的に勉強することで、和声の様々な特徴や仕組みを体得していますが、旋律に関しては学びません。少なくとも古楽を演奏する人にとって、とりわけ異文化の音楽の節回しを体得しようとする日本人にとっては、これは大変な欠落です。幸い、昔の人たちは実に豊かな「旋律論」を展開しています。例えば、私たちは、和声や他のパートの音との関係をさしおいて、旋律だけを考えても、「転調」をなんとなく感じています。昔の人たちは旋律の中のたった一つの音で劇的な転調を明確に感じていました。もちろん、グレゴリオ聖歌でもマドリガーレでも、その瞬間、歌詞なにかが劇的に変化しています。「ルネサンスの旋律論は私たちの歌を支え刺激する素晴らしい宝、その礎は「中世の移動ド」です。 中世の移動ド年間講座:旋律論2 クラウディオ・モンテヴェルディは型破りの作曲技法でマドリガーレ(イタリア語の多声曲)を作り新しい時代を切り開いたと言われ、日本でもよくコンサートや録音に取り上げられています。クラウディオの弟は、兄の作曲のあり方を第二の作法Seconda pratticaと呼び、その先人として、ローレやヴェルトといった彼らよりも前の世代にマドリガーレを作曲していたフランドル出身の作曲家を挙げています。彼らの音楽はモンテヴェルディの後期マドリガーレほど大胆な作曲技法によりませんが、残念ながら、私たちはその素晴らしさにまだ気づいていないようです。私はその秘密は旋律にあると思います。何気ない素朴な旋律のすべてのフレーズは丁寧に歌詞を表現しています。その旋律の意味合いはルネサンスの旋律論をもって明確に分かってくるのです。 ▲
by fonsfloris-k
| 2014-02-21 10:19
| その他
四十数年ぶりの大雪降りしきる中 最後の練習となりました。
歌詞の発音を確認してから全体を通して歌いました・・・ その結果、まずは良い響きを造り上げるために発音や歌詞にとらわれない よう、ヤ・ヤ・ヤで歌うことになりました。 注意点として ・出だし「レ」音の響きに入り込むように「ラ」の音を響かせる ・一個一個の音の立ち上がりを早くする ・芯のある声で歌う ・軟口蓋を意識して歌う ・「ファ」の音を高く! ・細かいリズムがかみ合うように注意する ・アクセントをハッキリと付ける ・他パートの動きを良く聴きタイミングを捉えて入れていく 自分のテンポにならないこと ・お互いを聴き合うことの重要性を常に意識して歌う ・英語の生き生きとした弾むようなリズム感を感じられるような演奏を心がける これらを踏まえたうえで歌詞をつけ細部の調整を重ねながら、 最後に全体を数回通して歌いました。 以上 四月の開講以来繰り返し頂戴した数々の注意事項の再確認を以って 講座は終了いたしました。 (MM) ▲
by fonsfloris-k
| 2014-02-08 13:00
| 講座レポート
Josquin des Prez , Missa de Beata Virgine より
Gloria 今期最後の練習。 はじめに全体を通して歌う。 反省点 ・パートにより速い、遅いのテンポ感のずれが生じている。 ・自分のテンポで歌うと全体がかみ合わなくなる。 ・余裕をもって聞き合うこと。 ・音程とリズムをよく聞くこと。 ・常に裏を感じ取ること。 以上を踏まえて、細部の練習を行う。 ・フレーズの最後の音は投げやりにせずに、内に収めるように歌う。 ・一つ一つの音の間(例:maーriーam)に何かを感じ取って歌う。 ・動きのある部分、静的な部分の区別を表現する。 ・最後の Amen はあまり頑張り過ぎない。 最後に全体を通して歌い、終了。 (MI) ▲
by fonsfloris-k
| 2014-02-01 15:30
| 講座レポート
「グレゴリオ聖歌入門」 (2月1日)
発表会で演奏する2曲「Graduale」「Alleluia」を練習しました。 *Graduale:Versus(詩節)を女性が歌いますが、音程が比較的高いのでソプラノだけで。 まず皆でフレーズ・声を揃えて歌いましょう。それは響きをどう繋げていくか、どう流れていくかということです。残響がいっぱいある大きな空間をイメージしてその中に流れていくように、上の方に声を響かせるようにします。大きな声ではなく、響きが残っていく、つながっていくことです。残響の中で残したい音の響きを落とさないようにしましょう。 Deus、Domineなどの「エ」の母音は落ちないように、鼻腔を意識して歌いましょう。mやnなどの語尾を大事にし、しっかり響かせましょう。響かせる音と軽く歌う音や長めの音と短めの音をなどを考えて歌いましょう。 dei nostriの所はfa・la・doの音を意識して歌います。fa - laの音程はピタゴラス音律では広い長3度です。低くならないようにしましょう。 *Alleluia:一番大事なことは、「ア」の歌い方です。前歯の付け根から息が鼻に抜けるように意識して歌います。音域が低くなるところは、音程が下がりすぎないように響きを上に保って歌います。口を開けすぎないで上の響きを意識します。Alleluiaのluのタイミングを合わせましょう。 連絡事項:リハーサル時間が11時から11時半に変更になりました。余裕をみて集合してください。 (TI) ▲
by fonsfloris-k
| 2014-02-01 13:00
| 講座レポート
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